【五輪代表に挑む郷土勢】陸上男子100 山縣亮太(セイコー、広島・修道高出)

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3大会連続の五輪出場に挑む山縣

 東京五輪イヤーが幕を開けた。56年ぶりに自国開催される「世紀の祭典」に向け、多くの中国地方ゆかりの選手や指導者、支える人たちが準備を本格化させている。第1部では代表切符に挑む郷土勢アスリートを追う。

 ▽体づくり追求 逆襲誓う

 逆襲の一年が始まる。自身が腰痛や気胸などでほぼ棒に振った2019年、サニブラウン・ハキーム(米フロリダ大)と小池祐貴(住友電工)が9秒台に突入。ライバル桐生祥秀(日本生命)を含めた「3枠」の代表争いは厳しさを増した。それでも「この経験を20年につなげられると思えば、収穫の多い一年だった」と前を向く。

 窮地に立てば立つほど、より強くなって戻ってきた。慶大1年時の11年に「走り方を忘れる」ほどの不振に陥ったが、翌12年はロンドン五輪に初出場。15年は腰痛に苦しみ、シーズンベストは高校3年時を下回った。だが翌16年は鮮やかに復活し、リオデジャネイロ五輪の100メートルで自己新、400メートルリレーで銀メダルを獲得。桐生に日本勢初の9秒台をマークされた17年9月には、2週間後に10秒00の自己新を出してみせた。

 原点は修道中時代にある。県大会で勝てなくなり、全国レベルを追うことを一度は諦めた。「明日、全国1位になるのは不可能。でも、記録を0秒01縮めることはできる」。自分が選ばれなかった県の強化合宿を見学に行き、ヒントを探った。闘う相手は他人ではなく、昨日の自分。成長への課題解決にまい進する姿勢は今も揺るがない。

 今回も逆襲への準備は進む。昨年11月から約5カ月にわたる米国合宿をスタートさせ、効果的な体づくりを追求。1月からはスピード練習も並行し、3月に実戦を迎える青写真を描く。「時間をかけて、しっかり走れる体をつくっていく」と足元を見つめる。

 五輪代表には参加標準記録(10秒05)などで出場資格をクリアした上で、6月の日本選手権(大阪)で3位以内に入る必要がある。「9秒台の記録を持っていることと、五輪代表に選ばれることは別問題。勝つのは簡単ではないが不可能でもない。全力で取り組んでいく」。知識、経験、信念の全てを注ぎ、東京への道を駆け抜ける。

 やまがた・りょうた 1992年6月10日生まれ。広島市西区出身。広島・鈴が峰小4年で陸上を始め、修道高時代に国体優勝。五輪はロンドン、リオデジャネイロと連続出場し、18年アジア大会では自己タイの10秒00で銅メダルを獲得。177センチ、72キロ。