経営経験生かし 若者育てたい 元HTB取締役「変なホテル」責任者・早坂昌彦さん 長崎国際大准教授へ転身

「HTBでの経験を地域に還元したい」と語る早坂准教授=長崎県佐世保市、長崎国際大

 長崎県佐世保市のハウステンボス(HTB)で、ロボットが接客する「変なホテル」や電力関連会社の創設に携わった元取締役の早坂昌彦さん(46)が、長崎国際大の准教授に転身した。今年からHTBでの経営経験を学術的にまとめるほか、本格的に教壇に立つ。
 福島県いわき市出身。慶応大を卒業後、通商産業省(現経済産業省)に入庁した。ビジネスのプレーヤーになるため、2001年に退職し、英国で経営学修士(MBA)を取得。帰国後は都市圏でIBMのグループ企業などで働いた。
 2011年に古里が東日本大震災に遭い、地方活性化の重要性を感じた。同じころ、経営再建中のHTBで社長だった澤田秀雄氏=エイチ・アイ・エス(HIS)代表取締役会長兼社長=と出会い、「地方での挑戦に共感」。入社の誘いを受けた。
 HTBでは澤田氏直属の事業開発室長に就任。次々と打ち出されるアイデアに圧倒されつつも、プロジェクト責任者を任された「変なホテル」は全国的な話題となった。2015年には電力小売事業を手掛ける「HTBエナジー」の代表取締役を兼務し、軌道に乗せた。
 HTBの経営を立て直した澤田氏は、昨年5月に退任会見を開いた。会見に同席し「自分も次のステップに進む時だ」と感じた。「全力疾走したHTBでの経験をまとめ、地域に還元したい」という思いもあった。長崎国際大の採用試験を受け、10月に国際観光学科の准教授になった。
 4月からは、長崎県や佐世保市がHTBへの誘致を目指すカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の講義を開く予定。九州初の科目で、学生とともにIR誘致のメリットのほか、ギャンブル依存症など懸案への対策を考える。
 いつかは古里に戻り、再び経営の現場で地域の活性化に携わりたいと思っている。「そのためにもHTBでの経験を形として残しておきたい。地域の未来を支える若者を育てたい」。そんな目標を掲げている。

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