歌舞伎界のホープ・尾上松也が「課長バカ一代」で希代の“バカ”を怪演!

歌舞伎界のホープ・尾上松也が「課長バカ一代」で希代の“バカ”を怪演!

1990年代後半にカルト的な人気を博したギャグ漫画「課長バカ一代」(作・野中英次)が、初めて実写ドラマ化され、BS12 トゥエルビで1月12日からスタート! 主演の尾上松也がバカげた言動で騒動を巻き起こす老舗家電メーカーの社員・八神和彦を演じる。

──原作は90年代後半のギャグ漫画ですが、この作品をドラマ化すると聞いて、どう思いましたか?

「ドラマのお話をいただいて原作を読んだのですが、ギャグ漫画の中でもシュールで独特な世界観があって。率直に、この作品をどうやって映像化するのだろうと不安になりました(苦笑)。劇画チックな画風なのに、セリフは身も蓋もないというか……ギャップがすごいですよね。だからこそ、映像になったイメージがしづらいんですけど。ですが、想像がつかないだけに楽しそうだな、演じてみたいなと思いました」

──主人公の八神についてはいかがでしょう。バカげた言動で周囲を巻き込んでいきますが、共感できる部分はありますか?

「全くありません(笑)。むしろ八神に共感できるのであれば、それはちょっと危ないのでは(笑)。ですが、憧れる部分はあります。彼は間違ったことも言いますし、突拍子もないこともやりだすのに、自分が間違っているとは全く思っていないんです。すべてをポジティブに捉えていて、全くブレずに生きている。失敗してしまうことも多いんですけど、彼がブレないことでなぜか社内でのトラブルが好転することもある。彼のように生きられたら楽だろうなと思います。特に自分は長いものに巻かれるタイプですので、余計にそう思いますね(笑)」

──では、八神を演じるにあたって心掛けたことは?

「今もお話ししたように、八神はとにかく“バカ”。部長から『接待で使った領収書をうまく経費で落としてくれ』と頼まれるシーンがあるのですが、『どうやったら経費として認められるのか』を、なぜか社長に聞いてしまったりする人物です(笑)。ですが、彼自身は誰かを困らせようとか、笑わせようとは思っていない。彼は自分の中の正義と常識を貫いているだけ。そういう意味では、八神は真面目で実直な男なんです。ただ、一般的に見たら、ちょっとズレているというか、ベクトルが違うんです。その実直な部分、自分の正義を貫く人物だということは、演じるにあたって意識はしました。それから、リアクションは大げさに。これは、自分としては、実は不本意でもあるんです。原作の八神は、ほとんど表情を変えないので。ですが、ドラマでそのまま表現するのは不可能でしたので、逆手にとって。ある意味、原作とはテイストが違う、ドラマオリジナルの部分かもしれませんね」

──漫画の実写化というのは、難しいものなんですね。

「そうですね。映像作品にすると、漫画とはズレてくる部分も出てきます。原作が持つ“劇画的な雰囲気と、バカバカしいセリフとのギャップ”は、漫画だと生きてくるのですが、それをどう映像で表現するのかは難しかったですね。コアなファンが多い作品ですので、ファンの方に納得していただけるようにしたいなとは思って取り組みました。特に八神のビジュアルに関しては忠実に再現したつもりです」

──ドラマで印象に残っているシーンを教えていただけますか?

「木村了くん演じる部下の前田とのシーンは見どころですね。木村くんはものすごく器用なんですよ。彼がセリフを言うだけで、噴き出してしまいそうになって、我慢するのが大変でした。特に、八神と前田が演劇論を交わすシーンがあるのですが、なぜか八神が前田をオーディションするんです。そこでの木村くんの演技はめちゃくちゃ面白かったです。あとは、八神たちが野球をするシーンがあるのですが、そこで僕は野球選手のものまねを披露しました。あれは楽しかったですね。僕はジャイアンツファンですので、ジャイアンツの打者のまねを。投手もできるのですが、それをやる前にOKが出てしまって、残念です(笑)」

──ドラマの舞台は家電メーカーですよね。原作では突拍子もない家電製品が登場しますが、ドラマでも?

「もちろん、いろいろな家電製品が出てきますよ。中でもおすすめは八神の部署が開発したロボットの“ボブ”。実は、物語の一つの核となるキャラクターなんです。まるで人が中に入っているような質感ですが、そうではありません(笑)。あくまでも“人が入っているかのような質感にこだわったロボット”なんです。掃除もできますし、恋愛相談にも乗ってくれる。大きくなったり小さくなったりと大活躍しますので、注目してほしい……いや、注目せざるを得ないと思うので、お楽しみに!」

──最後に、ドラマの見どころをあらためて教えてください。

「八神はバカなことばかり言っていて際立っていますが、実はバカなのは彼だけではありません。登場人物のほとんどがバカなんです。スタッフ、出演者一同、どれだけバカができるかだけを考えて撮影に臨みました。肩に力は一切入らない笑えるドラマになっておりますので、このドラマを見て日頃のうっぷんを晴らしていただければうれしいです。そういえば、監督のお話によると感動的なシーンもあるみたいです。僕は、どこを指して感動と言っているのかよく分からないんですけど(笑)、とにかく、楽しんでいただけると思いますので、よろしくお願いします!」

【プロフィール】


尾上松也(おのえ まつや)
1985年1月30日生まれ。東京都出身。O型。90年に二代目「尾上松也」を名乗り初舞台を踏む。歌舞伎俳優として活躍するほか、ドラマ「さぼリーマン甘太朗」(テレビ東京ほか)、大河ドラマ「おんな城主 直虎」(NHK)などに出演する。

【番組情報】


「課長バカ一代」
1月12日スタート
BS12トゥエルビ
日曜 午後7:00~7:30
※1月4日よりひかりTV、dTVチャンネルでも順次配信

取材・文/竹内伸一 撮影/中越春樹

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