熊本県高森町「タブレット図書館」 熊日連携、記事を配信 20年度構築

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タブレット端末を使ってクリスマスカードづくりに取り組む高森中央小の児童=昨年12月24日

 熊本県高森町と町教委、熊本日日新聞社は2020年度、電子書籍を子どもや町民に提供する「タブレット図書館」の構築に乗り出す。小中学生が授業で使う図書や熊日の過去の紙面・記事をデジタル配信し、タブレット端末で読んでもらう仕組み。3者は近く連携協定を結ぶ。教育に新聞を取り入れるNIEと情報通信技術(ICT)を生かした取り組みで、専門家は「全国でも例がない」としている。

 同町にはこれまで本格的な図書館がなく、情報拠点としての図書館整備を求める声が上がっていた。町中心部と山間部の情報格差の解消も課題で、「人口減が進む中、建設費や人件費などを考慮した整備」(同町)を探っていた。

 一方、ICTに関して同町は、12年度からいち早く教育現場を含む環境整備を進める“先進自治体”。電子書籍を活用すれば、財政コストを抑えながら充実した図書環境を実現できると判断した。構築費を盛り込んだ20年度予算案を3月定例町議会に上程する。

 計画では町が全小中学生(約450人)に1台ずつ配備済みのタブレット端末を利用。熊日のシステムを通じて学習図書、小説や童話などの電子書籍に加え、熊日の記事や特集、出版物を届ける。

 今後は紙面などを活用した「デジタル教材」づくりも進める考えで、有識者を交えたプロジェクトチームをつくる。町民向けには公民館などに配備したタブレットを貸し出し、書籍や新聞が閲覧できる「電子図書館」化も検討している。

 文部科学省の「学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議」の座長で東北大大学院の堀田龍也教授=教育工学=は、「熊日は水俣病やハンセン病の問題など地域に根差した報道を続けてきた。貴重な報道資料を、地域学習の教材づくりに自治体と取り組むのは聞いた事がなく、極めて価値がある」と話している。

 日本一を目指す

 高森町の草村大成町長の話 過疎地でも情報格差を感じない、充実した図書環境を構築。日本一のタブレット図書館を目指す。

 地域貢献したい

 熊日の河村邦比児社長の話 読者とともに培ってきた情報を十二分に活用し、地域の子どもや住民に貢献したい。

(2020年1月4日付 熊本日日新聞朝刊掲載)