見わたせば花も紅葉もなかりけり 【駅ぶら01】小田急線62

トップ画像は小田原線渋沢駅の下り快速急行小田原行が発車した直後。

渋沢駅上りホーム、小田原方面を見ています。トップ画像の快速急行が停車中。

上りホームを小田原方面に歩いてきました。新宿方面を見ています。跨線橋、橋上駅舎が大きいのが分かります。

駅名標。1927年(昭和2年)小田急小田原線開通にあわせて開業。1993年(平成5年)橋上駅舎と南北自由通路が完成。駅名を丹沢高原に改称する案が出されましたが採用には至りませんでした。渋沢駅は、小田急電鉄で最も高い標高163mに立地しています。渋沢駅~新松田駅観は既述の様に最も長い駅間6.2kmで、ロマンスカーのCM撮影の多くがこの区間で行われています。2004年(平成16年)バリアフリー化のエレベーター、多目的トイレの増築工事を実施。2007年(平成19年)南口ロータリー竣工。

列車接近メロディーに、ボーカルの坂井泉水が秦野市出身という縁でZARDの曲を採用しているそうですが、すみません、筆者はZARDの曲を知らないので分かりません。

跨線橋に上って改札口。正面に大きなスーパーマーケット「Odakyu OX」があります。

南北自由通路から改札口を見ています。木が多用されています。

小田急電鉄とセブンイレブンの契約が結ばれて駅のOdakyu SHOPは全て閉店されたと思っていました。現に渋沢駅上りホームのOdakyu SHOPは閉店し自販機が並んでいました。

ところが改札口横のOdakyu SHOPは営業中なのです。不思議に思ったので好物のチョコレートを買いながら店の方に尋ねたら「流通をセブンイレブンではなく、ウチは向かいのOdakyu OXの流通を使っているので営業が可能なのです」とのことでした。ちなみに「隣の秦野駅のOdakyu SHOPも営業してますよ」と教えてもらいました。そういうこともできるのですね。

北口に出るとペデストリアンデッキがあります。見事に丹沢の山々が見えます。「丹沢高原」という駅名も悪くない様な気がします。

北側のペデストリアンデッキへの出入口。

地上に降りるとこんな不思議な眺めです。

ちょっと西側から駅舎全体を見ています。Odakyu OXの看板が大きくて目立っています。

反対の南口側から駅舎。

南側のロータリーに渋沢共有地管理組合による【「渋沢駅」敷設の由来】が設置されていました。内容を概述すると「渋沢駅は渋沢共有地管理組合が土地を無償提供して作られた」と書いてあります。設置は平成27年11月8日となっています。しかし、光の加減で読み難いです。

その横には、秦野出身の歌人谷鼎(たにかなえ)の歌碑がありました。「ひぐらしの一つのみ鳴くこゑを背に夕あかね照るみちくだり行く」が刻まれています。谷鼎は、斎藤茂吉と藤原定家の「見わたせば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋の秋の夕暮」(新古今集)の解釈を巡って論争して有名になったそうです。

谷鼎さんは存じあげなかったですね。定家さんの日記「明月記」を扱った堀田善衛さんの『明月記私抄』(正・続 ちくま学芸文庫)は筆者の愛読書です。藤原定家についての本では詩人安東次男さんの『拾遺愚草抄出義解』(講談社学術文庫)が面白い。藤原定家全歌集もちくま学芸文庫から刊行されています。実は定家が大好き。性格の悪そうなところがマルセル・デュシャンと似てるし。(笑)

余計な話でした。次は秦野駅に向かいます。【駅ぶら01】小田急線63 に続きます。

(写真・記事/住田至朗)

「【駅ぶら01】小田急江ノ島線」一覧

© 株式会社エキスプレス