首里城復興の願い込め 佐世保

過去に描いた作品を前に、パッケージに採用された原画を手にする吉富さん=佐世保市勝富町

 2019年10月31日に那覇市で発生した首里城火災を受け、長崎県佐世保市に住む沖縄出身者や、障害者が復興支援に向けた取り組みを始めている。

 ■「ちばりよーコーヒー」販売 大阪のNPO法人

 NPO法人「YELL JAPAN」(大阪市)は、売上金の一部を首里城火災の復興に寄付する「ちばりよーコーヒー」を販売している。障害者が商品作りに携わり、賃金向上による自立を支援する「YELL coffee」の一環。パッケージは、佐世保市の吉富浩平さん(33)の絵が採用された。
 「ちばりよーコーヒー」は、障害者を支援する県内や関東、関西の団体・企業で製造し販売。豆ひきから袋詰め、発送まで障害者が担う。
 吉富さんは佐世保市勝富町の企業、KOSENで勤務。軽度の発達障害があり、洗車や清掃の仕事を担当している。
 首里城を訪れたことはないが、写真などを参考に描いた。瓦や屋根にある龍の飾りなど細かな点も再現。色鮮やかに仕上げた。
 昔から絵を描くのが好きで、作品が商品化されたこともある。吉富さんは「一日も早い復興を願って描いた。少しでも力になれたら、うれしい」と語った。
 「YELL JAPAN」理事で、KOSENの中村耕司社長は「障害のある人たちが復興への思いを込めた商品。このコーヒーを通じて応援してほしい」と話している。
 ちばりよーコーヒーは、インターネットから申し込める。問い合わせはKOSEN(電0956.59.8859)。

 ■美しい景色 カレンダーに

 佐世保市と沖縄県を行き来している琉球創作人形作家、座間味末子さん(71)は、沖縄文化芸能発信協会と協力し、座間味さんが手掛けた琉球人形を活用したカレンダーを販売している。売り上げの一部を首里城の復興支援に充てる。座間味さんは「首里城は心のよりどころ。長崎の皆さんにも協力してほしい」と呼び掛ける。
 座間味さんは沖縄県出身。20代後半から琉球人形を作り、フランスや米国など国内外で展示、贈呈をしてきた。娘が仕事の関係で佐世保市に住むことになり、新居探しを手伝ったところ、座間味さんが街並みを気に入って2018年に移住。2~3カ月に1度、沖縄に戻り、活動している。
 首里城火災のニュースは佐世保で知った。ショックだった。「自分の親を失ったような感覚だった」と振り返る。早期復興を支援するため、カレンダーの製作を思い立った。
 写真は、座間味さんが手掛けた人形とともに、沖縄の美しい景色やひな祭りなど季節の伝統行事を紹介している。1部1500円(税別)。問い合わせは座間味さん(電090.3794.8714)。

琉球創作人形作家の座間味さん=佐世保市卸本町
売り上げの一部を首里城の復興支援に充てるカレンダーの表紙(座間味さん提供)

© 株式会社長崎新聞社