ジャーニーのアーネル・ピネダ、フィリピンからのアメリカンドリーム! 1983年 1月5日 ジャーニーのシングル「セパレイト・ウェイズ」が全米でリリースされた日

ジャーニーのリードボーカルは YouTube で発見!

2017年3月。4年に一度の WBC(ワールドベースボールクラシック)が開催されたが、毎回その時期になると TBSテレビでは朝から晩までこの曲が流れていた。ジャーニーの「セパレイト・ウェイズ」だ。

そしてジャーニーと言えば、以前にもこのコラムで紹介したが、2007年からフィリピン出身のアーネル・ピネダがリードボーカルを務めている。

彼がカバーした「時への誓い(Faithfully)」の映像が YouTube にアップされていたのを、新しいボーカリストを探していたギタリストのニール・ショーンが発見したのが “きっかけ” と言うから、世の中何が起こるか分からない。

そして、ジャーニーのオーディションのために渡米することになった彼は、早速マニラの米国大使館を訪れたが、信じてくれない職員の前で「ホイール・イン・ザ・スカイ」を歌ってビザ取得の審査をクリアしたという逸話がある。本当かどうかは判らないが、現地では『Best US Embassy Visa Application Story』と言われているそうだ。

フィリピン発のアメリカンドリーム、マニー・パッキャオとアーネル・ピネダ

アーネルはマニラや香港で音楽活動を続けてきたが、幼い頃は路上で暮らしていたこともあると言う。そんな彼の生い立ちを考えれば、世界的バンドであるジャーニーの一員として活動を行っている現状は、まさに “アメリカンドリーム” だ。

しかし、アーネルの母国フィリピンには、彼以上の “アメリカンドリーム” の体現者がいる。もちろんマニー・パッキャオのことだ。彼のことは、ボクシングに詳しくない人でも名前くらいは聞いたことはあるだろう。2015年のフロイド・メイウェザーとの “世紀の一戦” は記憶に新しいが、日本ではこれを観るためだけに WOWOW に加入した人も少なくないらしい。

彼はプロボクシングのメジャー世界タイトルを6階級制覇(史上最多タイ)したことで知られるが、これがどれだけ凄いことか。フライ級(48.988-50.802kg)とスーパーウェルター級(66.678-69.853kg)の間の6階級でチャンピオンになった訳だが、実際には何度か飛び級しているので6階級以上の実績があると考えてもいい。彼は貧困のために中学を中退しなければならないような環境で育ったが、文字通り自分の腕だけで世界のトップに上り詰めた。

門戸を開き機会を与えるアメリカ、それはまさにワールドドリーム

“アメリカンドリーム” がなぜ “アメリカン” かと言うと、それは米国が自国籍を持たない人間にも門戸を開いているからだ。つまり、これは同時に “ワールドドリーム” でもある。かつて MLB(メジャーリーグベースボール)で活躍した野茂英雄は、彼がデビューした1995年のオールスタゲームで先発投手を任された際に「来たばかりの外国人にこんな機会を与えてくれる米国は素晴らしい」といった主旨のコメントを発していたのを僕は覚えている。

しかし、それにしても「セパレイト・ウェイズ」のビデオクリップは何度観ても… なんだかなぁ…

Song Date
■ Separate Ways(Worlds Apart)/ Journey
■ 作詞・作曲:Jonathan Cain, Steve Perry
■ プロデュース:Kevin Elson, Mike Stone
■ 発売:1983年1月5日

Billboard Chart
■ Separate Ways(Worlds Apart)/ Journey(1983年3月19日 8位)
■ Wheel In The Sky / Journey(1978年5月13日 57位)
■ Faithfully / Journey(1983年6月11日 12位)

※2017年3月16日に掲載された記事をアップデート

カタリベ: 中川肇

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