横須賀愛込め初アルバム 「大河」目指す三浦按針も題材、歌手・椿さん

初のアルバムを発売した椿さん=横須賀市内

 横須賀市を拠点に活動するシンガー・ソングライター椿(つばき)優衣さん(26)が初のCDアルバムを完成させ、地元の音楽レーベルから発売した。5曲を収録し、徳川家康の外交顧問で同市逸見地区の領主だったウィリアム・アダムズ(日本名・三浦按針、1564~1620年)をモチーフとした曲も。椿さんはアルバムを通じて「住んでいる街のことを、今よりちょっと好きになってもらいたい」と話している。

 椿さんは逸見地区の生まれ。小学生の頃から歌手になるのを夢見てきた。

 中学、高校時代は吹奏楽部でリズム感を養い、ボーカル学科のある専門学校へ。歌唱力のアップや作詞・作曲などに励んだ。

 卒業してからは、プロとして本格的に歩み始める。2017年11月に初のシングルCDを、18年2月にはセカンドシングルCDを発表。19年11月にCDアルバム「青の街」を世に送り出した。創作の傍らで、子ども向けの「歌のおねえさん」やバックコーラスなども務めている。

 収録曲のうちの一つが、按針を題材にした「青い瞳のサムライ」。按針をテーマにした大河ドラマ制作を求めて署名活動をする逸見地区の市民有志グループを知ったのが誕生のきっかけだ。図書館で文献を読んだり、ゆかりの場所に行ったりしながら曲作りをした。

 一昨年12月には、地域の催しで120人を超える市民らを前に披露。音源化を求める声が寄せられ、今回のアルバムに収録した。

 昭和を思い起こさせる歌謡曲調のメロディーに、伸びやかな歌声が乗る。アルバムにはこのほか、京急線に揺られた高校時代に抱いた恋心などを歌ったオリジナル3曲と、子どもの頃に母が口ずさんでいた地元出身の歌手山口百恵さんのカバー「いい日旅立ち」を収録した。

 地元での活動を通じ、地域を活性化させようと奮闘する市民らの姿を間近にし、「若い私たちも頑張らないと」と話す。詩には地元愛をふんだんに込めた。京急線堀ノ内駅や東京湾に浮かぶ猿島が描かれたジャケットは地元出身の大学生が手掛けたもの。全体から横須賀の魅力が伝わるアルバムに仕上がった。

 若年層の流出が伝えられることに「若い人が街からいなくなっていってしまい寂しい」と椿さん。「いま私にできるのは街を知っていくこと。曲を通して『横須賀って面白い』と思う人や関心を持つ人が増えたら」と願っている。

 アルバムは2千円。椿さんのライブイベントや音楽レーベル「inner space lab」オンラインショップなどで販売している。問い合わせは、椿さんにメール(utauxyui.official@gmail.com)。

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