「お金さえあれば幸せ」とは限らないと思った結婚、33歳女性の場合

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結婚するには経済力が大事。女性たちはそう言います。もちろんそれは正解でしょうが、「ではお金さえあればいいのか」と言われれば、誰もが戸惑うのではないでしょうか。お金があって、性格も穏やかでいい人。なのに結婚生活がうまくいかなかったという女性がいます。


資産は数億円

3年前、父親が設立したビル管理会社を継いだ5歳年上の男性とお見合い結婚をしたのは、マユミさん(仮名・33歳)。結婚当時は「穏やかでいい人だし、生活に不安はないし」と周囲に話していたのですが、つい先日、離婚しました。

「彼自身、若いときに投資した不動産がうまく回っていて、何もしなくても手取りで毎月、50万円くらいは入ってくるんです。家もあるし、母親は彼の妹と一緒に暮らしていて、そちらも会社役員なので収入はある。資産としては数億円、もっとあるんじゃないでしょうか」

知り合いの紹介でお見合いをしたとき、経済的な心配がないのは大きな魅力でした。そして彼の笑顔にも惹きつけられたといいます。5歳年上の彼は、世間のことなどほとんど関心がなく、穏やかな笑みを浮かべていたそう。

「汚れのない人というイメージでした。趣味は読書と音楽。彼のお母さんも妹さんも、みんな穏やかで今どき,信じられないくらいいい人なんです」

当時、勤めていた会社で人事のごたごたに巻き込まれて、キャリアが途絶える寸前だったマユミさんは、彼のような人と一緒になれば自分も癒やされるはずだと思ったのです。

「3ヵ月ほどつきあってみましたが、お金持ちなのに浪費するわけでもなく、かといってケチなわけでもなく、金銭感覚は私と変わらない。そこに好感をもちました。私は仕事を続けるつもりでしたが、彼は『それなら僕が家事をやるよ、今だってやってるし』って。彼、ほとんど出社しないんですよ。かといってお金のかかる遊びをするわけでもない」

穏やかな結婚生活

お見合いから半年後に結婚。彼女の希望で、レストランでの会費制結婚式をしました。彼と結婚してからは精神的に余裕ができたのか、仕事でもキリキリしなくなったといいます。

「それまで私は上へ上へと思っていた。同期の誰よりも出世してやると。でも彼の穏やかさを見ていたら、出世そのものより自分が満足できる仕事をしていきたいと思うようになったんです」

自分が変わると周りも変わります。彼女がチームリーダーを務める仕事が順調に回り出し、結果的に大きな業績を上げました。夫もそれを聞いて喜んでくれたそうです。

夫の生き方に違和感が

夫は私の理解者であり応援者であると確信していたマユミさん。そして夫はその態度を変えることはありません。それなのに、結婚して2年が経過したころ、彼女は言いようのない違和感を覚えるようになっていきました。

「夫は私の話を聞くだけで、自分から話題を出すことはないんですよね。夫にとって日常は永遠なんです。だってどこにも出かけないし,新しく人と知り合うこともないから、今日仕入れた話題がない。夫はそれでいいみたいですが、私はだんだん耐えられなくなっていきました」

まるで自分が“過去に生きている”ような錯覚にとらわれることがあったそうです。今を生きたい、さらに新しい自分を作り上げたいマユミさんと、30代にしてすでに老成したような夫。少しずつ心の距離感も開いていったといいます。

「何か新しいことを始めてみたら、と夫に勧めたりもしたんですが、“僕は今の生活で満足してるよ”とニコニコ言うわけです。毎日、夫が食事を作ってくれたけど、それも曜日によってほぼ決まってる。月曜日はカレー、火曜日は魚メイン、水曜日は私が疲れがたまりつつあるからお腹にやさしい鍋焼きうどんというように。食材は宅配でとっているので、スーパーに行ったらこんなものがあったから作ってみたというサプライズもない。何も起こらないのが彼にとっていちばん幸せなんです」

自分が求めてたものは

夫と暮らしてみて、彼女は悟ったそうです。自分は激動の日々を送ることが好きなのだ、と。何もない日常より怒ったり闘ったりする大変な日常を選びたい、と。でも、夫にはなかなか正直な気持ちを言えませんでした。

「夫は結婚前から全然変わってないんです。私が自分の本音に気づいてしまっただけ。申し訳なくて言えませんでした。でも私、どんどん不機嫌になっていく。ちょうど結婚して3年たったころ、夫が『何かあった?』と。そこで正直に全部話しました。夫は『それじゃしょうがないよね。お互いに変わりようがないもんね』って。本当に仙人みたいな人ですよ(笑)。私みたいな平凡な人間は対応できません」

離婚後も続く関係

結局、離婚したものの、マユミさんは今も月に一度くらい夫の家で食事をしながら愚痴を聞いてもらったりしているそう。つかず離れずの関係ならうまくいくようです。

「夫は私が彼のお金を目当てにしていなかったのがありがたかった。だからずっと友だちでいようね、と。私は私で,結婚するにはお金が重要だと思っていたけど、お金があるからといって幸せとは限らないとわかったし。今も必死で働きながら、愚痴ったり文句を言ったりしていますが、それが私という人間なんだとも思えるようになりました」

そしてそんな自分を受け入れられるようになったマユミさん。彼との結婚はうまくいかなかったけれど、この先の人生、もう少し懐深く生きていける自信が出てきたといいます。自分には何が足りなくて、何を欲しているのかわかったことは、これから役立つのではないでしょうか。