千綿のにぎわい 次の“一手” 九州電力と新事業立ち上げへ 東彼杵ひとこともの公社

協力して新事業を立ち上げる東彼杵ひとこともの公社の森代表理事(中央)と九電の関係者=東彼杵町瀬戸郷、ソリッソ・リッソ(九州電力長崎支社提供)

 東彼東彼杵町の千綿地区で古民家の再利用や移住者支援に取り組む一般社団法人「東彼杵ひとこともの公社」は今年、九州電力とタッグを組んだ新事業を立ち上げる。移住者を中心にカフェやレストランの開業が相次ぐ千綿エリアのにぎわいを広げ、次の“一手”を打つ狙い。7月ごろをめどに事業化を目指す。
 新事業は、九電が地場産業活性化と交流人口拡大を目的に初めて取り組む「Qでん にぎわい創業プロジェクト」の一環。九電が初期費用の出資やアドバイザー派遣などで支援し、地域の企業や団体と共同事業を起こす。昨年7月に協働先を募集し、計37団体の中から2団体を選んだ。
 同公社の代表理事、森一峻(かずたか)さん(35)は使われなくなった米倉庫を改修した「Sorriso riso(ソリッソ・リッソ)」を2015年に開設。地域の情報発信や交流の拠点として利用しつつ、移住者の新店舗開業に向けた試験出店場所として提供した。17年には公社を設立し、これまでに15件の開業、50人以上の移住をサポートした。
 町の魅力を掘り起こし、付加価値を与えるブランド「くじらの髭(ひげ)」も展開。特産品のそのぎ茶を使ったスイーツなどの商品開発やイベント開催などで他市町とも積極的に連携した。
 女性を中心に若い世代を呼び込む人気エリアに成長したが、森さんは「『お店や移住者が増えた』が着地点ではない」と話す。現在のにぎわいを波及させ、持続可能なビジネスモデルを構築しようと、九電のプロジェクトに応募した。九電は、公社の民間主体の活動実績に加え、店舗や商品、広報の高いデザイン性を評価。千綿エリアの成功事例を大村湾一帯に広げる可能性にも期待する。
 飲食店開業や町の「ひと・こと・もの」の魅力を集約したウェブサイト運営などのアイデアが上がるが、具体的な検討はこれから。森さんは「この町に愛着を持ち、地域を盛り上げる担い手を増やすことにもつながれば」と話す。

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