大学経営「苦難の時代に」  事業多角化、相互連携… 進む少子化 生き残り模索

くまもと令和ライフ 10代▶受験と学校(5)

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上段は崇城大と熊本学園大(左)、東海大九州キャンパスと尚絅大(右)の連携協定調印式。下段は県内全大学が加盟する大学コンソーシアム熊本の総会(左)、共同開発した弁当を手にする東海大と尚絅大の学生ら(右)

 「電磁気学の講義がおもしろい。2年からはプログラミング言語も専門的に学んでみたいし…」

 崇城大情報学部1年の島津由喜[ゆうき]さん(19)が学生生活の手応えを口にした。将来は、環境問題でも注目を集める発電方法などを研究するのが目標だ。

 キャンパスライフを満喫する学生がいる一方で、令和は、大学経営者にとっては苦難の時代になりそうだ。

 文部科学省によると、1990年度に全国で507校だった大学は、令和を迎えた2019年度には786校に。8割近くを占める私立は235校増えた。熊本県内でも平成に入り、九州看護福祉大が開学。九州ルーテル学院大や平成音楽大、熊本保健科学大が四年制大学へ移行した。

 背景には進学率の上昇がある。90年に24・6%だった四年制大学進学率は、19年度には53・7%に。若者が減っても大学生は増え続けた。ただ、17年に120万人だった18歳人口は40年には88万人まで減る予測。“大学余り時代”が到来する。

 崇城大の中山峰男学長は「大学も学納金以外の事業で収益を上げながら、教育を維持する時代が来るだろう」と今後を見通す。現在、収入の7割程度を学納金に頼るが、不動産を活用したテナント事業のほか、理系の研究活動を生かした商品開発などのビジネス展開を模索する。

 同じく県内有力私立大の熊本学園大を運営する学校法人・熊本学園の目黒純一理事長は「学校法人としての総合力を生かす」という方針だ。11年度には付属中学を新設して中高一貫校を実現。数多くの人材を県経済界に輩出してきた強みから「地域社会に必要とされれば、存続できる」と力を込める。

 県内は、全公私立大など14校が加盟して情報交換などをする「大学コンソーシアム熊本」があるが、本来は少ないパイを奪い合う“ライバル”同士。最近は一対一で連携する動きも出てきた。

 農学部を持つ東海大九州キャンパスと栄養士養成や食育に実績ある尚絅大は、18年7月に「食農連携」を前面に出した包括協定を締結。学生による地産地消弁当の共同開発などに取り組んだ。

 共同開発を指導した守田真里子・尚絅大教授らは「学生は異なる視点に刺激を受けている」と評価。荒木朋洋・東海大九州キャンパス長も「両大学の持ち味を生かし、熊本の食と農に関する存在感を発信することができる」と力を込める。

 崇城大と熊本学園大も、18年3月に包括的連携協定を結んだ。理系の崇城大と文系の熊本学園大は相互補完が可能となった。

 しかし、国が国立大学法人の統合を可能にし、私立大間の学部譲渡を容易にするなど大学再編を後押しする時代だ。「必要性が生まれれば将来的に、二つの大学の統合だって可能性が全くないとは言えないですよ」。崇城大の中山学長は口元を緩めた。(社会部・太路秀紀、平井智子)=「10代▼受験と学校」は終わり