「どんな人も受け入れる多様性あふれる街へ」渋谷区長が語る渋谷の未来

長谷部健(渋谷区長)

BEAMSのコミュニケーションディレクター・土井地博が、様々な分野で活躍しているゲストを迎え、その人の未来のクリエイションを共有していくInterFM897のトーク番組『BEAMS TOKYO CULTURE STORY』。年末から年始にかけては、渋谷区長の長谷部健さんにお話をききました。

渋谷の歴史はまだ浅い、だからこそ変化を恐れない街にしていきたい

土井地博(以下、土井地):ついに2020年。あけましておめでとうございます。

長谷部健(以下、長谷部):おめでとうございます。

土井地:迎えまして今年は本当に東京、渋谷が大きく変化の年になるかなと思っておりますけども、2020の日本にとって非常に大きいイベント、東京オリンピック、パラリンピックが夏に控えております。まぁ率直に、もちろん準備されてると思いますけども長谷部さんとしては、今年この夏に来る東京オリンピック、パラリンピックというのはどういった存在ですか?

長谷部:もちろん今年あるイベント、オリンピック、パラリンピックとかもめちゃめちゃ楽しみにしてるんですけど、意識はその少し前に持っておきたいと、最近特に考えるようにしていて。この2020年を目標にしていろんなことを街づくりも進んでいるんですけど、渋谷駅周辺も今のところのゴールが2027年と言われていますから、まだ道半ばなんですよ。で、当然渋谷の周辺は大きな計画が見えてきましたけれど渋谷区ということを考えると、もっと駅周辺以外にも渋谷区は広いので、我々は今、甲州街道のほうを少し注目していて。笹塚・幡ヶ谷・初台という。

土井地:新宿方面ですね。

長谷部:甲州街道の両サイドは、山手通りから向こうは渋谷区ですので。

土井地:渋谷区ってのが、どうしても渋谷駅周辺ってイメージがあるんですけども。

長谷部:新宿の南口も渋谷区なので、もちろん新宿と敵というわけではないので仲良くやってるんですけれど、あちらの街づくりを考えていくことも思っていますね。2020年をゴールにしてはいけないので、そういうつもりでいます。

土井地:渋谷という区、意外と知らないところがあって、へぇそうだったんだってことが結構多くて。今遊歩道になってるところとか元々川だったりだとか、「谷」というものがつきますから水回りが多かったりしたんですよね。

長谷部:それは、ここ100年の歴史を調べるとわかりますね。

土井地:僕初めていい意味でショックだったんですけど、びっくりしたのが駅にロープウェイありましたよね。

長谷部:2年間くらいあった時期(1951~53)ありましたよね。もちろん僕が生まれる前ですけれど、なんか渋谷って、僕の子供の頃からずっと変化しているんですよ。変化していく街なんだなっていう気がしますね。でも一方で原宿は少し趣が違って、表参道って、あれ明治神宮の参道ですよね。みんな忘れてますけれど。ちなみに明治神宮も今年2020年で100年を迎えるっていう、ほんとに締の年なので、それはそれでしっかりと。やっぱり渋谷区のど真ん中にあるんですよ。緑が参道ってもので発展してきていますし、元々大正時代くらいまではど田舎ですから。はっきり言って江戸って赤坂から海の方ですし。

土井地:東東京が、ほとんど町人の街でしたからね。

長谷部:明治神宮が造れる場所があったわけですから、そんだけ野っ原だったんですよ。大正の頃は道玄坂もちょっとしたお店から始まっていますので、やっぱりそういった成り立ちを考えると100年でできてきた街なんですよね。まだね。だからやっぱり、この先の100年見据えてどういう変化をしていくかっていう。

土井地:今って、地球全体の人口が増加していて、特に日本も限られた国土で少子化とは言われながらも人口が多いと言われてるので、暮らし方だとかいろんな形で若い方から年配の方まで情報を共有しあってお互い好きな街にしていこうという、非常に前向きな部分があると思うんです。まさにこの渋谷っていうのが、人が多いだけとかコンクリートジャングルだけでなくて、インフラももちろんそうですけど緑が多かったりとかそういうものが大切にされてるような、世界でもモデル・シティになる。

長谷部:そこまではまだあれなんですけど、その気概は持っていきたいです。

土井地:明治神宮も47都道府県の木々がそれぞれ植林されていたり。

長谷部:100年経って自然の森になるっていう計算のもと作られています。植生遷移(しょくせいせんい)の法則って言うんですけどね。

土井地:今回のオリンピックスタジアムの、全部で47の都道府県の木々が使われているということなんですけど、ある意味全てが集結しているような渋谷区で。でも2027年に予定されていますが、最近よく言われるのが私たちの未来どうなるんだろうと。映画『2001年宇宙の旅』が2007年で、『ブレードランナー』がちょうど去年、2019年がテーマだったんですよ。なので、もうそういうSFの時代を超えてきた形になっていますけど、将来的にどういう風な移り変わりを期待したり、見られたりされていますか。

長谷部:多分ハードの面は年々変わってくるんですよ。より便利になっていったり当然すると思うんですけど、この街のコンセプトというかずっとあるもの、僕は多様性だと思っていて。ずっと子供の頃から見ていても多様な人が日本中から、今では世界中からになっていますけど、集まってきていて。そこでお互い認め合って混じり合って、新しい価値や文化を発信してきているんですよね。ファッションで言うと小学校の頃は、「竹の子族」とか原宿にいて、中学校にDCブランド。その頃からアメカジ・シブカジが出てきて、音楽も渋谷系とかラテンブームもあったり。ストリートのカルチャー、そこで人が交わっていくってこともこの街の原動力だったので、そこはちゃんと王道として残していきたいです。そういう意味では、場を整理するってことで言えば、なるべく歩行者天国とか人が歩いて街を楽しめるような機会っていうのをもっと追求していきたいと思っています。そういった場があるから多様性っていうものが育まれやすくなるというか。やっぱり新しい街なので鎌倉・京都と違って何百年住んでいるって人たちがいないんですよね。僕は3代目で、でもローカルも少ないし、今の高齢者の方々も自分たちが出てきたって思いがあるので新しく来る人にもどこか寛容で。それが恵比寿なんかうまくいって、混じり合って住みたい街になっていますよね。そういった力のある街なので、新しくなっていくことを恐れずに、新しいカルチャーだったりカウンター(カルチャー:対抗文化)も含めて常に生み出しているってところにプライドを持つというか、多様であることにプライドを持つ。

ニューヨークにこの夏、行ったんですね。そこでは多様であることにみんなプライドを持っていると言うか、ニューヨーカーと呼ばれる彼らも、べつにニューヨーク生まれニューヨーク育ちってわけではないんですよね。ニューヨークが多様な価値観を許してくれて、みんな上を向いて頑張ろうって集まるからニューヨーカーって誇りを持つんですよね。ああいう姿を見ていると、多様性っていうものをしっかり持ち続けてプライドにしていくってことで、うまく生きていけるんじゃないかなって。難しいことなんですけどそれが生きていく術、街が発展していく術かなと思っています。

写真左から土井地博、長谷部健(渋谷区長)

BEAMS TOKYO CULTURE STORY

放送局:InterFM897

放送日時:毎週月曜~金曜 17時40分~17時55分

出演者:土井地博 (BEAMS)

番組ホームページ

メール:beams897@interfm.jp
ハッシュタグ:#beams897 #beamstokyoculturestory

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