メルセデスF1チーム代表を務めるトト・ウォルフは、2020年に向けてルイス・ハミルトンのチームメイトとして、エステバン・オコンを選ばなかったのは、オコンを大きなリスクから守るためだったと語った。
バルテリ・ボッタスの契約が2019年末で切れるため、チームは2020年のドライバーとして彼との契約を延長するのか、育成ドライバーとして長年サポートしてきたオコンを起用するのかを検討した。オコンは2019年にはシートを得られず、1年レースから遠ざかる形で次のチャンスに備えていた。メルセデスは結局、ボッタスを残留させることを決め、オコンはルノーからF1復帰を果たすことになった。
「心のなかで悩み続けた問題は、ハミルトンのチームメイトとしてオコンを起用すべきかどうかということだった」とウォルフは言う。
「ハミルトンはメルセデスに加入して7年たち、今が最高潮の時期でもある。そのハミルトンのチームメイトの役割をオコンに与えることは、オコン自身にとってよくないと考えた。1年レースから離れていたのだからなおさらだ」
「もしかするとオコンが素晴らしい仕事をし、エキサイティングなストーリーが展開されるかもしれない。だが、スーパースターと(同じチームで)戦ってすぐさまいい結果を出した人間はこれまでひとりしかいない。それは(フェルナンド・アロンソとマクラーレンで競った)ルイス・ハミルトンだ。他のドライバーたちはある程度の時間を要した」
「したがって、私としては、オコンのキャリアを危険にさらすようなことはしたくなかった。ルイスを相手に勝負するというリスクを冒させたくはなかった。それがこの決断の理由だ」
■「ハミルトンとボッタスのペアに大満足」とウォルフ代表
ウォルフはまた、チームが成功を収めるためにはふたりのドライバーの競争心をうまくコントロールすることが非常に大事であると考えている。ハミルトンとボッタスのペアに関してメルセデスはうまく対処できており、そういう意味で今のラインアップは最強であるという。
「ドライバーたちの究極の目標はドライバーズタイトル獲得であり、その夢を追求していくものだ。その事実を受け入れつつ、彼らをうまく管理していく必要がある」とウォルフは言う。
「そのことが緊張を生み出すかもしれない。彼らの目標は必ずしもチームの目標と一致するとは限らないからだ」
「我々は、世界一成功したスポーツチームの仲間入りをするというメルセデスの目標を、ドライバーたちより常に優先させてきた。この数年、うまくそれができたことを誇りに思う」
「バルテリとルイスはとてもうまく協力し合っており、それと同時に激しく競い合っている」
「チームにとって非常にポジティブな状況だ。そういう意味で、我々は今後に向けて最高のドライバーラインアップを擁していると断言できる」