「世界」登録再挑戦! いざ鎌倉、東京五輪、弾みに

 鎌倉市は、歴史的建造物や伝統芸能といった有形・無形の文化財を地域やテーマごとに認定する「日本遺産」への登録を目指し、申請に向けた取り組みを加速させている。社寺の祭礼や別荘文化、江ノ電による周遊観光などに光を当て、地域の歴史や文化を個性的なストーリーに仕立ててアピールする狙い。国のお墨付きを得て、2020年東京五輪に向けた観光振興や世界遺産登録への“再挑戦”に弾みをつけたい考えだ。

 日本遺産は、厳しい保護体制や普遍的な価値の証明が必要な世界遺産とは異なり、文化財を観光資源として積極活用することで地域活性化につなげる新事業。文化庁は20年までに100件の認定を目指しており、昨年4月の第1弾では24府県の18件を選定した。

 鎌倉市は「国内外の観光客受け入れ態勢の整備に弾みをつけたい」考えで、昨年12月に国に提出した「歴史的風致維持向上計画」で示したテーマを基にコンセプトを練り上げ、ことし2月上旬までに申請する。

 テーマは▽社寺の祭礼や行事▽海にまつわる伝統行事▽若宮大路周辺の商いやその町並み▽「江ノ電」による周遊観光▽明治時代以降の別荘文化▽切通などの遺産と一体の山稜の保全活動−の六つ。中でも、社寺は同計画で「鎌倉の歴史・文化の源泉」に位置付けており、日本遺産のストーリー構築においても中心に据える方針。鶴岡八幡宮などから申請へ強い要請もあったという。

 有識者による審査を経て4月上旬に認定の可否が発表される見通しで、認定されれば、国から情報発信や調査研究事業への補助金が交付される。市は五輪を見据え、外国人観光客への対応強化に伴う事業などに活用したい考えだ。

 市などは「武家の古都・鎌倉」で世界遺産登録を目指したが、13年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関、国際記念物遺跡会議(イコモス)から不登録勧告を受け、推薦が取り下げられた。市は「世界遺産のハードルはかなり高く、日本遺産とは次元が違うが、登録が後押しになるかもしれない」と期待を膨らませている。

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