「たかがゲーム」からの認知度アップへ 知ってほしい「eBASEBALL」の魅力

2年目のシーズンを送るソフトバンク・加賀谷とオリックス・木村【写真:安藤かなみ】

シーズン佳境を迎えたリーグ戦でセは巨人、パはロッテが首位

 現在、創設2年目のシーズンが行われている「eBASEBALL プロリーグ」2019シーズン。1月11日、12日に行われるeペナントレース第5節を残すのみとなり、いよいよ佳境を迎えようとしている。セ・リーグでは首位・巨人が初優勝までマジック2を点灯させており、パ・リーグはe交流戦を制した首位・ロッテを他球団が猛追するデッドヒートを繰り広げたまま最終節に突入する。

「eBASEBALL プロリーグ」は「実況パワフルプロ野球」(通称:パワプロ)を使用した、日本野球機構(NPB)とコナミデジタルエンタテインメント共催のプロ野球eスポーツリーグ。プロ野球12球団がeドラフト会議で選手を選択して4名のチームを結成し、プロ野球と同様にセ・リーグとパ・リーグに分かれて日本一の座をかけて争う、”もう一つのプロ野球”だ。

 現在、2年目を迎えたこのプロリーグ。プロプレイヤーになるためにはし烈な予選を突破しなくてはならない。今季、オンラインで行われた予選(プロテスト1次選考)を経て、オフラインの予選(プロテスト2次選考)に駒を進めることができたのは180名。そこから、候補選手が40名に絞られ、eドラフト会議を経て28名の選手が指名された。現在、昨季からの契約継続選手と今季のeドラフトで指名された選手の合計48名が、プロプレイヤーとして最高峰の舞台でしのぎを削っている。

 プロプレイヤーが魅せるハイレベルな試合に、会場に足を運ぶファンは週を追うごとに増加。会場では試合後にプロプレイヤーとファンが交流する時間も設けられるようになり、この交流会が選手個人のファン獲得にも一役買っている。

 昨年からの継続選手として2年目のシーズンを送るソフトバンク・加賀谷颯太主将は「パワプロでは野球をやったことがない人でも簡単にホームランが打てて、誰でも簡単に三振を取ることができる。僕も『全打席ホームランが打ちたい』というところが入り口だったりした。その気持ち良さを伝えたいし、僕らの試合を見て感じていただけるところがあれば」と自身の経験を踏まえ、真剣勝負に燃える。同じく2年目のオリックス・木村智亮選手は、「今シーズンは、昨シーズン交流があった人でプロになれた人、なれなかった人の両方を見てきた。今後もプロリーグがもっと続いていくためにも、盛り上げていい試合をしたいと心から思っています。そういうところを見てほしい」とさらなるリーグ活性化に向けて前向きだ。

日本での認知度はまだ低い「1回見てもらったら絶対に面白いと思ってもらえる」

 それでも「eBASEBALL」を始め、eスポーツは日本での認知度はまだまだ高いとは言えない。一般社団法人日本eスポーツ連合の公式サイトではeスポーツについて「『エレクトロニック・スポーツ(electronic sports)』の略で、広義には、電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般を指す言葉であり、コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称」と定義している。格闘ゲームやアクションゲームなど使用されるソフトのジャンルは幅広く、世界では1年で億単位の賞金を稼ぎ出す各分野で活躍するプロゲーマーも存在する。

 日本でも2019年に行われた「いきいき茨城ゆめ国体」の文化プログラムでは国体史上初となる都道府県対抗によるeスポーツ選手権が開催され、2020年の「燃ゆる感動かごしま国体」でも引き続き開催が決定するなど、その競技性がゲームユーザー内だけではなく広く認められつつあることは間違いない。さらに、鹿児島国体からは競技タイトルに「eBASEBALL」で採用されている「実況パワフルプロ野球」が追加され、少年向けの野球教室もあわせて実施される見込み。リアルとバーチャルの野球が連動してイベントを盛り上げる初の試みにも注目が集まり、「eBASEBALL」にとっても追い風となりそうだ。

 広がりを見せるeスポーツと「実況パワフルプロ野球」の世界。1月25日に行われる「eBASEBALL プロリーグ SMBC e日本シリーズ」のチケットは出場チームが決定する前にすでに完売となっており、都内の映画館でのパブリック・ビューイング企画も決定するなど盛り上がりを見せている。プロとして第一線で戦う木村は「たかがゲームだと思われているかもしれないが、1回見てもらったら絶対に面白いと思ってもらえる」と自信を口にし、ファンに来場を呼び掛けた。今はまだ駆け出したばかりの「eBASEBALL」。これからの盛り上がりにより一層期待したい。(安藤かなみ / Kanami Ando)

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