「鬼滅の刃」バカ売れで株価乱高下、フィギュア扱う「壽屋」の反応は?

『週刊少年ジャンプ』で連載中の漫画「鬼滅(きめつ)の刃」の爆発的な人気となっています。そうした中で、株式市場では同作の関連銘柄に注目が集まっています。

「鬼滅の刃」のフィギュアなどを展開する壽屋の株価は1月6日、一時ストップ高を記録しました。投資家をも引きつける同作がヒットした背景には何があるのでしょうか。


株価は20%超の上昇

同作は家族を鬼に惨殺された主人公の少年が、生還したものの鬼に変貌した妹を人間に戻すために旅に出る、大正時代が舞台のファンタジー。『週刊少年ジャンプ』での連載開始は2016年11月でしたが、大ヒットのきっかけは2019年4〜9月にTOKYO MXなどで放送されたテレビアニメでした。

同年3月時点でシリーズ累計発行部数が450万部だったのが、アニメ放送が終了した9月は1,000万部と急激に伸ばしています。12月4日に発売された18巻までで、2,500万部を突破しました。

2019年に急上昇した「Google検索ワード」の上位にもランクインし、動画配信サービス「Hulu」の年間視聴者数ランキングではアニメ部門で1位に。オープニング曲「紅蓮華」を歌うLiSAさんは、NHK紅白歌合戦に初出場を果たしています。

こうした人気にあやかろうと、2020年に入って投資家たちが注目した関連銘柄の1つが、フィギュアの企画から販売までを手掛ける壽屋です。1月6日の株価は一時はストップ高となる2,223円(昨年末比+21.7%)まで上昇しました。

壽屋「想定以上の受注」

同社では鬼滅の刃の登場キャラクター「竈門炭治郎」「竈門禰豆子」「我妻善逸」の3種類フィギュアを、「ARTFX J」シリーズから各1万円(税別)で4月以降に発売する予定。関連銘柄として注目されていることについて、同社のIR担当者は「正直驚いている」と話します。

壽屋のフィギュアは、キャラクターの再現度やディティール、動きのあるポージングが特徴。「(「鬼滅の刃」シリーズは)店舗、ECサイトに加え、小売店への卸で想定以上に受注が入っています。通常のものより圧倒的に数が多い」と、前出のIR担当者は好調ぶりを明かします。

「鬼滅の刃」の人気はすさまじく、単行本の在庫を切らす書店も少なくありません。1月7日に都内の書店4店を探しましたが、既刊も新刊も在庫なし。

Amazonでも単行本の在庫がなく、20日以上後に入荷される旨が表示されています。入手できないことを嘆くユーザーも、ネット上で散見されました。

※本文中の写真はノベライズ版の『鬼滅の刃 片羽の蝶』。ノベライズ版もシリーズで累計70万部を突破している

鬼滅の刃はどこも売り切れ

それにしても、鬼滅の刃はどのような読者層に支持されているのでしょうか。

TSUTAYAでコミックのMD(マーチャンダイズ)を担当する古川潤さんによると、アニメ化してから女性の購買層が増加し、男女比は半々程度になったそう。中でも特に伸びているというのが40代女性。小中高生だけでなく、その親世代にまで支持が拡大しているようです。

古川さんの分析では、同作がヒットした理由は「作品の力」「アニメのクオリティ」「SNS」の相乗効果だといいます。「ここまでのヒットにつながったのは、今の時代ならではのSNSの影響が大きいと考えています」。

2020年には映画化も予定されており、いよいよ人気が沸騰しそうな「鬼滅の刃」。壽屋の株価は急騰翌日の1月7日こそ2,100円(前日比▲5.5%)に反落してしまいましたが、作品人気が広く認知されれば、再び市場の注目が高まるかもしれません。

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