娯楽の殿堂スガイ M&Aで新たな出発

2人のキーマンに密着

©テレビ北海道

今週のけいナビは、映画やボウリング、ゲームセンターなど道民の娯楽の場を提供してきた「スガイ」がテーマ。その経営はここ5~6年で変わっていて、「M&A」で事業の立て直しを図っている。
※「M&A」…直訳すると「合併と買収」という意味。「合併」は2つ以上の企業が1つになること。「買収」は、ある会社が他の会社の株を買うなどして経営権を持つこと。

スガイディノス札幌中央が去年6月に閉店
館内は、客のメッセージで埋め尽くされた

去年6月、約100年にわたり、北海道民に娯楽を提供してきたスガイディノス札幌中央店が閉店した。須貝興行の創始者・須貝富蔵が、1918年に始めた芝居小屋が前身。第2次大戦後、1952年に息子の富安が洋画専門館を建設。54年に須貝興行を設立し、その後、今のビルを建てた。戦後の映画ブーム、1960年代にはボウリング、70年代後半からはインベーダーゲームなど、時代を彩る娯楽を提供してきた。

現社長の三浦さんは、大阪出身の51歳。釧路公立大に入り、アルバイト先を探していた時、時給の良かったスガイのゲームセンターで働きだした。卒業時には総支配人に誘われ、新卒として入社した生え抜きだ。

父親には入社を反対されたが、若い社員にも責任とチャンスを与える社風にひかれ、カラオケにゲーム、映画と、夢中で仕事に没頭してきた。スガイはいまも旭川や室蘭、苫小牧など道内16カ所でゲームやボウリング、映画館などを展開する。しかし、6年前にライザップグループの傘下入り。ライザップ側の事業の整理で、ディノス札幌中央ビルは解体・売却されることに。エンタメ部門も売りに出された。そこで買収に動いたのが、北海道の企業などが出資するファンドだ。

買収するファンドを作った小笠原一郎さん

ファンドは、11億円でスガイの全株式を取得。小笠原さんが、新会社の会長に就いた。ファンドは、数年後にスガイが上場するか、上場会社のような大きな会社とのM&Aで株式を売却するなどして利益を得るスキームと見られる。自身も高校時代から室蘭のスガイで遊び、親しみがあったというが、買収に動いたのはそれだけが理由ではない。小笠原さんは「地方に行くと、札幌と違って娯楽が少ない。スマホ全盛の時代ではあるが、人が集って遊べるところは必要で、深堀りすればまだまだチャンスはある」と話す。

小笠原さんの本業は、公認会計士。会計の仕事をこなしながら、週2回ほどスガイに行く。公認会計士は普通、企業などと顧問契約を結び、安定的な収入を確保する。しかし、小笠原さんは契約件数を抑え、自ら経営に関わっていく。その一つが、札幌市南区のパン店。

1斤1,000円の高級食パンなどを手掛ける。ほかにも札幌と旭川で障がい者福祉施設も手掛けていて、この店は、障がい者の人が働く場でもある。小笠原さんは「会計の計算だけをするのではなく、内容が分かるからこそビジネスにつなげられる」と話す。

スガイの買収話を持ち掛けられたのは、おととし10月。素早い動きで、12月には北海道の企業や東京のゲーム会社などから買収資金12億円を集めた。

スガイは再生に向け、新たな映画館を探す。社長の三浦さんは閉店以降、「札劇」と呼ばれ愛されてきた映画館を再開するビルを探していた。旧札幌劇場は、6スクリーン、563席。これにゲームセンターも併せた施設を出す計画だ。しかし、都心部で求める物件を見つけるのはハードルが高い。札幌市内の映画館は、大きく2つのシネコンに集約されている。スガイが運営するのは、ロードショー系の大作でなく、目の肥えた映画ファンが好む単館系の映画。このジャンルをいま札幌で上映するのは、シアターキノだけ。再開すれば十分勝算があると踏んでいる。

三浦社長は「札幌劇場は去年240~250本の映画を上映した。無くなった分を再開するので、客の取り合いにはならない」と話す。一方のゲーム事業も、実はインバウンド向けの有力なビジネスコンテンツだという。
この日、映画館出店に向けた融資を依頼している大手銀行が、調査のために来社した。

面談の様子

小笠原さんは、「聖地閉店の記事も見てもらっていて、北海道でスガイディノスがどう感じられているか、一定の理解を得られた」と手応えを感じていた。スガイはこの時点で映画館の候補地を一つに絞っていた。狸小路の札幌プラザだ。映画ファンなら知っている旧東宝プラザ。8年前に映画館を閉め、今は貸しホールになっている。

スガイは2階の376席のスクリーンを3つに分け、地下の170席と合わせて4つのスクリーンに改修する考えだ。北海道産食品を販売するHUGマートは、ゲームセンターに変える。

年が明け、スガイ再生へむけた勝負の1年が始まった。

神社参りをする二人

三浦さんは「結局人の商売だと思っている。アイデアを出して映画でもゲームでも機械頼り、コンテンツ頼りから何とか脱却したい」と話す。小笠原さんは「ことし聖地復活祭をやることによって、スガイディノスというブランドがきちんと北海道に根差すかどうか、ファンドを運営する上でも非常に大きな試金石になる一年」と話す。

自身も投資家として勝負の年と語る杉村太蔵さん

どう企業価値を高めていくのか。生まれ変わるこれからのスガイに注目したい。
番組の最後は杉村太蔵さんの一言。コメントのフルバージョンはYouTubeなどのSNSで公開中。

(2020年1月11日放送 テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)
過去の放送はYouTube公式チャンネルでご覧になれます。
TVh「けいナビ」