【MLB】サイン盗み防止へ「ハイテク機器」を2種類開発 今春キャンプで“テスト”実施へ

サイン盗み疑惑が報じられているアストロズ【写真:Getty Images】

MLBは「ウェアラブル乱数発生器」「ライティングパネル」の試作品を開発

 今オフ、メジャーリーグは“サイン盗み疑惑”で揺れている。2017年にワールドシリーズを制したアストロズに疑惑が浮上し、MLBが調査を進めている。さらに米複数のメディアが、翌18年に世界一になったレッドソックスにも同様の疑惑があったと伝えたばかりだ。

 そんな折、米ヤフースポーツはサイン盗み防止策としてMLBが「フィールド内でのテクノロジー導入を検討している」と伝えている。

 記事によると、MLBは球種を伝えるテクノロジーの導入を検討しており、スプリングトレーニングで選手からフィードバックを得る予定としている。MLBコミッショナーズオフィスは「ウェアラブル乱数発生器」や「マウンドのライト」など、バッテリーのコミュニケーションを暗号化する機器の試作をいくつか開発しているという。

 記事は「最も簡単で明快な解決策は投手と捕手が直接話せるようにイヤホンをつけることである」とした上で「関係者によると、昨年試したところ、イヤホンをつけながらブルペンで投げたマイナーリーグの投手は邪魔だったと語った」と伝えた。

 そして記事はMLBが開発を進めているというテクノロジーについて言及。「関係者によると、開発中の機器の1つは『ウェアラブル乱数発生器』である。これであれば、捕手がサインを出し、投手がサインを受けるという現状は維持され、専用のソフトウェアプログラムでも解読するのが不可能なように暗号化されることが加わる」と解説した。

 記事はさらに「他の案として、マウンド上のライトが指のサインに代わることになるかもしれない。関係者によると、投手にしか見えないライティングパネルを操作するコントロールパッドを捕手が使い、ボタンによるライト表示で球種を伝える」と伝えた。

MLB関係者「どこかの時点でテクノロジーが導入されると思います」

 記事によれば、こうした選択肢の全てにおいて、コネクティビティ、システム動作、ペース・オブ・プレーへの影響など、懸念材料はあるという。MLBはまた、複雑なサインの必要性を省くことにより、時間短縮につながることを望んでいるという。

 記事は「すぐに導入されるわけではない」と指摘。「MLBは今オフにミーティングで球団フロントとこうした機器について話し合ったが、どの解決策が最も適しているかまだ検討している」としたうえで「MLBは今春、メジャーリーガーたちからフィードバックを得るために、機器をいくつか準備しようとしている」と伝えた。

 記事はまた、関係者の話を紹介。「こうしたものはまずテストする必要があります。安全性、機器の整合性、影響。時間短縮になるのか? 試合を長引かせるのか? どのように試合に影響を与えるのか? どこかの時点で解決策としてテクノロジーが導入されると思います」と話している。

 既にMLBは試作品を開発し、今春キャンプで選手に試してもらうというから、懸念材料が解消されれば迅速に話が進んでいく可能性もあるだろう。バッテリーのサイン交換にテクノロジーが導入される時代になるのも、そんなに遠い日ではないようだ。(Full-Count編集部)

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