拍子抜け… カルロス・ゴーン被告の「トークショー」に内外もガッカリ 逃亡劇の詳細は「20年後に話す」

画像はテレ東NEWS・YouTubeチャンネルより

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動画はテレ東NEWS・YouTubeチャンネルより

端的に言って拍子抜け……そう感じた人は多いのではないだろうか。日本時間の1月8日午後10時、レバノンで行われたカルロス・ゴーン被告の「会見」だ。

一説には元米軍グリーンベレーも協力したという日本からの逃亡劇は、国内のみならず世界中で報じられ関心を集めた。その逃亡後初めて、本人が口を開くというのだから注目を集めたのは当然だ。当事者である日本マスコミの数多くが会見への参加を希望したが、ゴーン被告側から許可が下りず、参加者は限定的なものとなった。ゴーン被告いわく「プロパガンダ的なメディアは排除した」ということだが、軽く見られたものではある。

会見は、30分前から参加者の照合、金属探知機での検査など物々しい雰囲気に包まれた後、ゴーン被告本人の“説明”からスタートした。いつも以上に多弁なゴーン被告は、予定されていた30分の説明を大きくオーバーする大熱演。自身への容疑を否定するとともに、一連の騒動を日産自動車と日本司法、特に検察による“陰謀”だと力説した。なかでも元腹心でゴーン追放劇の立役者でもあった西川広人前社長や社外取締役の豊田正和氏などを名指しで批判。経産省出身の元役人である豊田氏と検察の繋がりを匂わすなど、日産=検察、官民挙げての不当な陰謀であると海外メディアに向けてアピールした。

反面、海外メディアからも後の質疑応答で質問があった「逃亡劇」の詳細には、関係者に迷惑がかかるということで一切シャットアウト。その割には「20年後には(詳細を)話すことがあるかもしれない」などと余裕を持ったような物言いが目に付いた。

この逃亡劇へのシャットアウトに見られるように、質疑応答を含めて自身に不利益となることはことごとく拒否するか、曖昧な返答でスルーするなど、会見は煮え切らなかった。そんななかで、唯一ゴーン被告がデリケートに答えたのが、レバノン人記者による「イスラエルへの入国と要人との会見」であった。

レバノンの敵国であるイスラエル入国には同国での批判も強く、そのための質問であったが、ゴーン被告は「ルノーのCEO(フランス人)として入国した」という苦し紛れの説明に終始した。それに対して、レバノン人記者は「イスラエルを敵国として認めるか」「レバノン国民に謝罪するのか」と畳み込み、これに対しても、ゴーン被告はイスラエルの空爆を非難するという曖昧な応答に終わった。日本人記者にこのくらい押しの強さが欲しいものなのだが……。

このように、徹頭徹尾自身にとって不利益な質問には曖昧かスルー、国際的に批判もある日本の司法制度に関しては鬼の首をとったように、多弁かつ執拗に批判するなど会見というよりは、ゴーン被告のトークショーに近い、厳しく言えば茶番に近いものではあった。

なんにしても、日本の司法制度がどうであれ、違法出国という明確な法律違反を犯しているのは事実だ。その我が国に対して、「パールハーバー」という言葉まで出して印象操作をしようとしたゴーン被告に、日本人からより厳しい目が向けられるのは間違いないだろう。(文◎鈴木光司)

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