何とか知恵を

 正月気分が抜ける時分に持ち出すのもためらわれる話だが、毎年12月には、車でハンドルを握りながら古いクリスマスソングを聴くのを習いにしている。ビートルズのメンバーだったジョン・レノンの「ハッピー・クリスマス」は昨年も定番だった▲〈きょうはクリスマス 君が楽しんでいるといいな〉というシンプルな曲に子どもたちのコーラスが重なる。〈争いは終わるよ 君たちが望めば〉。曲が発表された頃、ベトナム戦争が続いていた▲少し前までよく聴いたコーラスがまた、頭の中で繰り返し鳴る。イランはきのう、イラクの駐留米軍をミサイル攻撃した。イランの精鋭部隊の司令官を米軍が殺害したことへの報復、仕返しだ、と▲米側は、司令官がこちらを攻撃しようと狙っていたから阻止したのだ、と正当化するが、これを誰が「分別ある行い」とみるだろう▲イラン側は、米国がしたことは「戦争行為」と怒りを燃やす。ともども、非は向こうにあると難じ、対立は極まっている。真正面の武力衝突にまで至るかどうか。今は頭を冷やす余地が見当たらない▲日本は米国の同盟国、イランとは友好国という立場にある。「超」の付くような難問とは分かっているが、何とか知恵を絞れないか。関係国が望み、動かなければ、争いに終わりは見えてこない。(徹)

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