姉妹がつなぐ名店の味 被災で閉店「うな専」 2店で復活

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宇土市で復活した「うな専」。(左から)高原悟志さん、藤井幸子さん、寿美さん、一郎さん=同市
宇土で「うな専」を引き継いだ藤井寿美さん。手にしているのはうなぎめし

 熊本市南区近見で半世紀近く愛され、熊本地震の影響で閉店したウナギ料理店「うな専」が、同区平田と宇土市本町で復活した。両店が味を引き継ぎ、店内は常連客などでにぎわう。宇土では地震で空き地が目立つ一帯に、活気を与えている。

 旧店舗は藤井一郎さん(82)、幸子さん(84)夫妻が1971年から切り盛り。地震に伴う店舗解体で、惜しまれながら2017年夏に閉店した。

 店を手伝っていた長女寿美さん(51)と次女美佳さん(48)が「味を引き継ぎたい」と決心。寿美さんは19年7月に宇土で、美佳さんは同年5月に熊本市南区平田でそれぞれ店を開いた。

 幼い頃、宇土で暮らしたことがある寿美さん。焼き担当の高原悟志さん(36)と共にかつて弁当店だった店舗を改装した。タレの味やウナギの焼き方だけでなく、旧店舗の机や椅子、看板、のれんなども引き継いでいる。

 宇土市本町一帯は、熊本地震の影響で通り沿いにも更地が目立つ。地元区長で酒店を営む桑田宏一さん(77)は「高齢化で世帯数が減っていた地域に、地震が追い打ちをかけた。新たな出店は地域に活気が出る」と歓迎する。

 店には新旧の客が訪れる。宇土の店を訪れていた熊本市南区の男性(72)は「かつての店に創業当初から通っていた。味は変わらずおいしい」。初めて訪れたという近くの伊藤タエ子さん(75)は「また来たい」と笑顔だった。

 今でも両店を手伝う一郎さん、幸子さん夫妻は「子どもたちが受け継いでくれてうれしい。一生懸命に仕事をして、お客さんを大事にしてほしい」と目を細めていた。寿美さんは「縁あって宇土に開店した。両親のように長く愛される店にしたい」と意気込む。

 定休日は、宇土が木曜、平田が月曜。宇土TEL0964(22)5220。平田TEL096(353)4978。(西國祥太)

(2020年1月9日付 熊本日日新聞朝刊掲載)