どうする「成人式」対象年齢 長崎県内21市町「未定」 2022年度改正法施行 18歳なら…「受験と重なり困る」の声も

 民法改正で2022年4月から成人年齢が18歳に引き下げられる。同年度以降の「成人式」の対象年齢をどうするか。全国ではすでに自治体が相次ぎ方針を固める中、長崎県内21市町の対応は「未定」と様子見状態となっている。学校現場や保護者らは「18歳が対象となると、受験と重なり困る」「早めに方針を決めてほしい」と心配している。
 改正法が施行される22年度には18、19、20歳のすべてが成人となる。仮に18~20歳が同日の式典に臨む場合、新成人の数が例年の3倍に膨れ上がることも想定され、式典会場の規模、着付けの予約を受け付ける美容室の数、開催時期など課題は多い。
 昨年11月、大分市は22年度以降も対象年齢を従来通り20歳とすると定例記者会見で発表した。「成人式」の名称は「20歳のつどい」に変更するという。「18歳は就職や進学などが決まる時期で、1月はセンター試験もある。参加は難しいだろうと判断した」と市の担当者。市の教育委員のほか、19年1月の成人式で実行委を務めた若者の意見などを参考にしたという。九州では熊本市や福岡県太宰府市なども、対象を20歳にすると決めている。
 県内自治体の担当者も「3世代同時だと会場の確保が厳しい」「18歳にすると、受験と重なる新成人がかわいそう」と気をもんでいるが、対応が決まっている自治体はゼロ。「20歳を対象に開催したいという方針だが、確定するのは来年度以降」(南島原市)、「年内には発表したい」(大村市)と早めの方針決定へ前向きな自治体もあるが、大多数は「これから検討する」「ほかの自治体を参考にしたい」と慎重だ。
 学校関係者や保護者も、自治体の方針が気掛かりな様子。県立高の教頭は「もし18歳が対象となった場合、1月はセンター試験がある。優先順位として、成人式出席は難しいだろう」と語り、私立高校の教頭も「18歳で受験も成人式もとなると、生徒の負担が心配」とした。現在高校1年生の子を持つパート職員の女性(48)=長崎市=は「3世代同時開催だと美容室の予約も殺到しそうで、どうなるか想像がつかない。自治体によって対象年齢が違うと、転勤が多い家庭は困る。早めに判断してほしい」と語った。

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