東京湾シーバス! 1月は港湾部のテクニカルゲームか河川でのゼロワンゲーム!! アナタはどちらを選ぶ!?

ソルトウォータールアーターゲットとして全国的人気を誇る「シーバス(スズキ)」。なかでも東京湾(神奈川、東京、埼玉、千葉)はルアーシーバス発祥の地であり、湾奥や干潟、河川、磯など様々シチュエーションがあり全国的にも“激戦区”といわれる。そんな激戦区を知り尽くす、キャスティングのカリスマ店員・小出さんに毎月、前月の釣果状況及び、翌月の釣果予測&オススメルアー&オススメフィールドを予想して頂きます!

【Profile】
小出慎(こいで・まこと)さん
キャスティング日本橋店・副店長。東京湾のシーバスアングラーならその名を知らぬ人はいないカリスマショップスタッフで、確かな腕と豊富な経験、莫大な知識が武器。11~12月は干潟に通いまくりで予定を合わせてなくても他店の仲良しスタッフとフィールドで落ち合うシーバスエスパーでもある(笑)。

2020年1月の東京湾奥シーバスフィールド状況

2019年度後半は大型の台風や大雨、そして定期的に降り続いた雨により、東京湾のフィールドは例年とは異なる顔を見せた。河川の氾濫などで被害を被る反面、水量が増えたことにより魚影の濃い豊かなフィールドへと変貌させました。

産卵のため大半のシーバスが海へ南下していった中で1月の東京湾のフィールドでは港湾部と河川、全く真逆の状況となっている。港湾部で小型の魚と楽しむのもあり!そして河川では数少ない大型の個体を求めるストイックなシーバスゲームに挑むのもあり!どちらも自身のシーバススキルを高められること間違いなし!?

11月後半から12月の東京湾シーバスの状況

ルアマガ+「関東では気温、水温ともに温かい日が続く11月の後半から12月にかけてでしたが、東京湾ははどのような状況でしたか?」

小出さん「この時期の東京湾は干潟エリアでのウェーディングが盛んになるシーズンですが、今年は特によく釣れていました。11月~12月の東京湾の河口、干潟エリアはベイトも豊富でイワシもいればコノシロもいるような状況。勿論それに伴いシーバスも多く入っていました。ベイトの種類が豊富が故にミノーから大型のウェイクベイトなど幅広いルアーで釣果が上がっていましたね

ルアマガ+「そういえば小出さん、干潟でタチウオ釣られていましたね

モンスターウェイク156F(DAIWA)に出た大型のタチウオ。干潟では滅多にお目にかかれない魚である。

小出さん「そうなんですよ、今年はちょっと異常なくらい東京湾の至るところにベイトがいて、横浜から釣れだしたタチウオはベイトを追いかけて干潟や港湾部の奥まで入りこんでいました。若洲や豊洲でも釣れていましたね。

冬に近づくと水もクリアになるんですが、今年は雨がよく降っていたため河川から濁った水がずっと流れていました。川の水と海の水は混ざらないので、川の濁った水が上の層にあって、海水は比重が重く下の層にあるのですが、濁りの影響で水深が浅くて明るい場所を嫌う太刀魚でもシャローにもいられたんだと思います。特に東京湾に注ぐ河川はずっと濁っていましたから。それに加えエサとなるベイトもたくさんいるので太刀魚がしばらく東京湾に居着いていたんです。
そして太刀魚だけでなく、青物もシーバスも一緒になって釣れるので、まるで大阪湾のような東京湾でしたね(笑)

そんな感じで今年の後半戦の東京湾はベイトがたくさんいたので釣れる時期が長引いたイメージです。特に今年は台風や雨の影響で河川がよくなかった分河口域の干潟がよくなりましたね。先述した通り、コノシロやイワシなどのベイトも多くいましたし。

また大雨の影響で氾濫して河口域に泥が堆積してぬかるんでいる部分も多く、足をとられるフィールドも多くあったと聞いています。でも実はその上流部から流れてきた泥こそが栄養分を多く含んでいてベイトが集まっている要因でもあるんです。

自然の原理で普段東京にいると感じられないのですが、東京湾の川から出る生活排水はほとんど浄化処理されてでているので栄養分はあまり含まれていないんです。ですが今年の大雨がもたらした山から流れてくる泥水の中には、山の栄養がたくさん含まれていて、その栄養がたくさん東京湾のフィールドにに注いだということになるんです。台風や大雨で多くの被害はもたらされたのですが、本来の自然の原理を見れ、且つ東京湾のポテンシャルが発揮されて魚のコンディションもよかったですよね。

そして台風の大雨だけでなく、台風後も適度な雨が定期的の降り続いたことにより、絶え間なく栄養素が東京湾に流れ込んでいましたね。普段なら千葉の船橋方面でも青潮と呼ばれる栄養のない水が発生するのですが、今年は全くなかった。青潮が出ないくらい東京湾の水には栄養があったんですよ。だから今年は船橋エリアではタチウオはもちろんサワラもよく釣れてましたよね。栄養が出た川には多くの魚が集まるんですよ

私自身の釣行はウェーディングでの釣行がほとんどで、お客さんを見てても良い釣果の大半は干潟でのウェーディングでしたね」

モンスターウェイク156F(DAIWA)に出たグッドコンディションのシーバス。今年の河口部の干潟は魚影がすこぶる濃かった!

小出さん「あとは前月に引き続き、港湾部も盛り上がってましたね! 5cmくらいのカタクチイワシからマイワシなんかも入ってたりして太刀魚もかなり釣れてましたし、晴海、豊洲エリアでは朝イチにけっこうなシーバスボイルも起きてたみたいで、入れ喰いで釣れてるお客さんもいました。サイズは50~60cmくらいまででしたが、よく釣れていましたね。

河川は11月中旬から釣果がどんどん落ち始めてきたので残っている個体をポロポロと釣っていくような感じでしたね。河川から魚が減ってくると、その下流にあたる河口部、つまりは干潟が調子よくなってくるんですよね。

1月はライトタックルで繊細に魚を釣りたいのであれば「港湾部」へ行こう!

ルアマガ+「11月後半から12月は河口部の干潟が非常に好調でしたが、本格的に冬を迎える1月の東京湾はどのように攻略すればよいのでしょうか?」

小出さん「年末から年明けは12月中旬ぐらいまで釣れていた魚が産卵のために沖に出る。産卵行く個体は南(千葉房総半島、神奈川三浦半島)に行くのでそこでもう一度大型の個体を狙えることができます(東京湾から離れますが・・・・)俗にいう「関東磯マル」です。

産卵に出ないような小型の魚は『水温が安定する水深のある場所』に集まりだします。ボートで狙えるようなバース周辺の深場などの水深20mライン、岸寄りの浅いところから沖に出るイメージです。
もちろん港湾部に残る個体もいて、例えば運河でも水深のあるところ、外洋の沖のように運河や港湾部の岸壁みたいな水深があり水温が安定するような場所には産卵が絡まない50cmクラスまでの個体が残ります。なので港湾部はフッコクラスまでのシーバスは狙えるのが1月

港湾部には5cm位のイワシがいるのでちょっと水深のあるようなエリア、壁とか運河にはそれを狙う魚が居着いています。そしてまた夜になると外灯にイワシが集まってきて、メバルなどに混ざり捕食をします!

小さい個体は水温が低くても大きい個体より活発に動けるんです。人間も同じで冬でも小学生は元気でしょ(笑)なので魚を見つけられれば釣りやすい。ただ餌が小さく、シーバスも小さいのでハイシーズンで使用するようなタックルではなく、小さめのミノー、そしてより釣果を求めたいのであればワームを選択します

ロッドもLクラスやメバル用のライトゲームロッド、ラインも号数を落としたものを使って釣りをするとより楽しめると思います。数は釣りにくいですが、まとまっているような場所を見つければ連発する。12月から1月の港湾部エリアは繊細なゲームで楽しんで貰えればと思います。

ストイックにランカーを狙うなら「河川」に行くべし!

河川は秋に釣れていたような魚はエサを食べたくて河川を遡上するような魚たちなので、体力を蓄えて沖に産卵に行くために河川にいたので、年末年始にはだいぶ河川から出て行ってます。ただし、産卵絡まないような魚や、秋に河川へ来るタイミングが遅かった魚が残っていることもあります。個体数は減るけど、産卵が遅れているまだたくましい単発の魚を釣る可能性があるのが12月末から1月前半。過去に僕も12/31に河川でグッドコンディションな86cmを釣ったことがありますよ(笑)。

1月前半になれば逆に産卵を終えて河川に戻ってくる個体もいます。早いところでは12月末の大潮周りから1月にかけて川バチも抜け始めたりもしますので産卵後の弱った個体はそのような多毛類を捕食します。また河川のボトムには越冬する動きの鈍い大型のハゼがいたりするのでそれも捕食対象になります。なのでこの時期は産卵に行きそびれた個体と産卵から戻ってきて体力を回復するために弱いベイトを食べようとする個体が狙えます。

産卵を終え、河川に戻ってきたシーバスがバチを食べるか、ハゼを食べようとするのかでは時合は大きく変わってきます。バチを食べようとする個体ならば満潮からの下げでいいとこにポジションをとってエサを待ちかまえますが、エサ食べないタイミングは彼らは体力がないのボトムででじっとしています。

下手にこの時期にバイブレーションなどでボトムをトレースすると大きなシーバスなどがスレで掛かったりするのですが、それはまさに休んでいる産卵から河川に戻ってきて体力を回復させているシーバスです。そんな休んでいる個体がエサを食べるタイミングは極力体力を使わないように食べるので1日捕食活動時間を15分ぐらいにして効率よくエサを数匹捕食して、またジッと河川のボトムで体力を回復させるのが1月の河川のシーバス

あとは産卵に絡まない個体。シーバスはサイズがある程度大きくなりすぎると産卵しなくなります。説は色々とあるのですが、若いうちに3回ぐらい産卵をすると精巣がなくなってしまうのです。そのような個体は河川に居続け、ベイトを捕食します。冬は時合は短くてすごい釣りづらいのですが、ポロっとでかい居付きが釣れたりするんです

冬の河川の釣りは集中力を必要とするので、流れがちょっと変化したりなどの一瞬のタイミングでしか口を使わないので自分か選んだシーバスがいるであろうポジション、同じスポットにひたすら投げ続けるかどうかの粘りの釣り。ボトムで待機しているシーバスが捕食活動のタイミングで動き出す瞬間を捉えられるかどうか。どのシーズンよりもよりストイックなスタイルを強いられます。

港湾部でフッコクラスのシーバスと繊細なゲームを楽しむか、河川で一瞬の時合をつかみランカーを狙う釣りをするかどちらかですね。

1月の港湾部は確実に釣りたいのであれば「ワーム」は必須! 河川は120mmクラスのシャローランナーミノーを投げ続けるべし!

ルアマガ+「港湾部はシーバスもベイトのサイズも小さくなるのですが、具体的にはどのようなルアーをチョイスすれば良いでしょうか?」

小出さん「港湾部のシーバスは小さめのミノー、小さめシンキングペンシル、小さめのバイブレーション、そして何より持っていて欲しいのがワーム。港湾部で釣果が欲しいのであればワームは必須です。波動もあまり強くなく、イワシの波動に合わせるような感じのもの。カラーは自分の好きなものをチョイスして頂ければいいと思いますが、オススメはナチュラルなイワシっぽいカラーと派手目な色を持っておくと良いですね」

小出さんおすすめのハードルアーは左から「キー・パプース(タックルハウス)」、「ワンダー60(ラッキークラフト)」、「ミニエント57S(DAIWA)」
小出さんおすすめのワームは「モアザンミドルアッパー(DAIWA)」。装着するジグヘッドは「シーバスジグヘッド()DAIWA)」。ジグヘッドの重さは水深にもよるが軽めの5g~10g程度のものをチョイス。

何度も言いますが、絶対に釣りたいのであればワームと小さいシンキングペンシルは必須ですね。

河川は100~150mmクラスのミノー。飛距離を出し、広いエリアをゆっくり探る。流れを感じながら、流れの変化+地形の変化を見つけていく。見つけたのであれば来たるべき時合に備え投げ続ける。

小出さんおすすめは左から「コモモSF-125(ima)」、「ショアラインシャイナーZバーティス120F SSR(DAIWA)」、「カゲロウ124F(メガバス)」、「フランキー(ロンジン)」

コモモ(ima)カゲロウ(メガバス)、ショアラインシャイナー(DAIWA)などのシャローランナーミノーで、沈んでいたシーバスが動いて浮き出すタイミングに、シーバスの目線の上でしっかりと泳いでるルアーのほうが大型の個体を狙いやすいです。あとは潮位が下がってくれば上を向いているシーバスとの距離も近づくので、回復途中のシーバスでもしっかりと射程圏内に入ります。

特にカゲロウ124F(メガバス)はオススメ。先日の干潟でのウェーディング取材でも投げたらすぐに釣れましたよ。あんまり深くまで潜らないし、キャストしてからレンジを入れて、ゆっくり巻いてれば簡単に釣れる。どんな角度から水を受けてもしっかり水を噛むので、ずーとバイトチャンスがあるんですよ!バランスがホントに良いルアーです。

秋に釣果が出たポイントは魚が着く可能性が高いのでそのような場所を絞り込んで狙うといいかもしれませんね。以前にもお話しましたが、秋の釣れているピークのタイミングはランカーが効率よく捕食するタイミング。1月の河川も残っている個体はランカーサイズなので同じピークが当てはまる可能性があります。そこで釣果が上がればまた来年へと繋がるので上達したいのであれば冬も通いこむことも大事ですね」

次回はいよいよ東京湾の冬から春にかけての風物詩「バチパターン」について小出さんにガッツリと語って頂きます!

DAIWA

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