【熊本城のいま】大天守 3回塗りで黒々と

©株式会社熊本日日新聞社

黒く輝く大天守の外壁。横方向に張ってあるのが下見板、それを押さえる細い棒状のものが簓子=2019年12月20日撮影

 熊本城の大天守は2019年12月、外観の復旧工事が完了した。大天守の周囲にあった足場が外され、熊本地震前の威容を間近に見ることができる。

 鉄筋コンクリート製の大小天守ではコンクリート壁の傷み具合を確認するため、壁を覆う下見板[したみいた]や板を上から押さえる「簓子[ささらこ]」を全て取り換えた。壁のひび割れには樹脂を注入して補修。塗り直された外壁がつやつやと黒光りしている。

 熊本市熊本城総合事務所によると、下見板と簓子の塗り直しには、大阪ガスケミカル社製の木材保護塗料「キシラデコールフォレステージHS」を採用した。飯田丸五階櫓[やぐら]や本丸御殿など復元建造物で使われた塗料の改良版という。

 「どの塗料を使うか、耐久性や価格の面から検討した」と総合事務所で建築を担当する城戸秀一さん(45)。決め手は塗料の強さ。「風雨や紫外線などの影響で、いずれ塗り直す時期がやってくる。塗り直しには大掛かりな足場を造って多額の費用がかかる上、工事中は天守が見えなくなってしまう。なるべく長く持つ製品を選んだ」という。

 この塗料は2回塗りが標準だが、大天守では3回塗布したという。このため耐久性の向上に加え、見た目にも熊本城の「黒」が一層際だつようになった。復旧工事が進む小天守の外壁にも、この塗料を使用するという。

 ただし、化学塗料が使えるのは復元建造物に限られる。国重要文化財には建設当時の材料に近いものを使わなければならない。1985~89年に解体修理された宇土櫓では「墨(松煙)を柿渋と膠[にかわ]の混液に溶解させたもの」が3回塗られている。

 熊本城と同じように、黒々とした外壁が特徴の国宝松本城(長野県松本市)の天守は、外壁に黒漆が使われている。松本城管理事務所によると、50~55年に解体修理した際、黒漆が塗られていることが判明。以来、毎年の塗り直しには黒漆を使い続けているという。(飛松佐和子)

(2020年1月10日付 熊本日日新聞朝刊掲載)