東郷元帥ゆかりのイチョウ、140年ぶり苗木里帰り 横須賀など軍港4市で植樹へ

イチョウの苗木を育てるウェールズ国立植物園の関係者=英西部ウェールズ(日本郵船提供)

 日露戦争でロシア艦隊を破った旧日本海軍の東郷平八郎元帥(1848─1934年)が留学していた英国から、東郷ゆかりのイチョウが約140年ぶりに日本に里帰りした。今春以降に神奈川県横須賀市など旧軍港4市に植樹される運びで、縁ある地の関係者は日英友好の新たな芽を歓迎している。

 イチョウは、日本政府が英国に発注した初代軍艦「比叡」の進水式が行われた1877年、日本から感謝の印として英国に寄贈された。留学中の東郷は進水式に参加し、受け取ったイチョウを宿舎の庭に植えた。東郷は比叡に乗艦して帰国し、後に元帥となった。

 日本への帰郷プロジェクトは英国の郷土史家の男性らが提案した。造船所がある英西部ウェールズのウェールズ国立植物園でイチョウの枝から苗木約30株を育て、このうち約30センチまで育った15株が先月、広島に到着し、広島市植物公園で受取式が開かれた。日本郵船グループがプロジェクトに賛同し、無償で空輸した。

 旧軍港4市(横須賀市、広島県呉市、京都府舞鶴市、長崎県佐世保市)と東郷元帥の出身地である鹿児島市や東郷神社(東京都渋谷区)などで植樹される予定。このうち、三笠公園内(横須賀市)の記念艦「三笠」を管理する三笠保存会は「具体的な話は聞いていないが、東郷ゆかりのイチョウを歓迎したい。できれば三笠の近くに植樹してもらえれば」と期待している。

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