子どものゲーム、スマホ「夜間ゼロ」道半ば 綾瀬で取り組み3年、達成の鍵は保護者

運動のチラシを説明する綾瀬市PTA協議会の小林会長

 神奈川県綾瀬市教育委員会と市PTA連絡協議会が、小中学生にスマートフォンや携帯電話、ゲーム機の夜間使用を控えさせる取り組みを続けている。スタートから3年余り。生活習慣の乱れなどを防ぐ独自のルールを守る割合は増えてはいるものの、中学生は依然、午後10時以降も使用。有害なサイトやアプリを規制する「フィルタリングサービス」を契約していない保護者が3~4割おり、関係者は「目標達成は道半ば」と受け止めている。

 学校と保護者が協力して取り組む「あやせ夜間ゼロ運動」は、2016年4月にスタート。小学生は午後9時以降、中学生は午後10時以降、どちらも午前6時まで、電源を切る、または保護者に預ける独自ルールを定めた。保護者にはフィルタリングサービスを契約するよう呼び掛けた。

 会員制交流サイト(SNS)の普及でスマホなどの長時間利用が目立つようになり、児童や生徒の生活習慣の乱れや学力・体力の低下が指摘されるようになる中、それらを防ぐための先行した活動として県内でも注目された。

 市教委などは成果を検証するため、9割が所持する中学2年生と5割が所持する小学5年生を対象に、開始直前の15年12月と17年7月、19年9月の3回、アンケートを実施した。

 3回の結果を比べると、中2は平日の使用時間が4時間以上の割合が25%から22%に減少、午後10時以降の使用も64%から58%に減った。小5も午後9時以降の使用が25%から20%に減少した。当初、予測していなかった学習目的で使用するケースも1割超あったという。

 市教委などは成功の鍵に保護者の理解を挙げてきた。3回目の調査では初めて、対象に保護者も加えた。

 その結果、子どもに与えるスマホなどにフィルタリングをかけていない保護者は中2で42%、小5で31%と、呼び掛けがあまり浸透していない現状が浮き彫りに。独自ルールも中2で36%、小5で31%が各家庭で設けていなかった。

 市P連の小林真希会長は「SNSやインターネットをきっかけに子どもが犯罪に巻き込まれるケースが各地で後を絶たない中、フィルタリングをかけていない保護者が意外に多くて残念」としつつ、「運動は継続が重要。講演会やワークショップを開き、引き続き周知していきたい」と話している。

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