大物正体126.6キロ、カンナギ

 昨年12月26日に西表島在住の井本由五郎さんはアカマチを狙って租納港から1人で出船した。順調にアカマチを釣っていると、巻き上げている途中で急に竿(さお)が海面に向かって突っ込み、電動リールから糸が引きずり出された。井本さんはこれまで何度かここのポイントでサメらしき大物に仕掛けを切られたので、またサメが食いついたのだろうと思い、22号のハリスが切れても良いと考え、リールで強引に巻き上げることにした。ドラグを締めると、竿が海中にさらに大きく突っ込み、抵抗はされたが、掛かった大物を海底から引き離すことに成功した。その後も掛かった魚は時々抵抗を見せるが、ゆっくりと巻き取ることができた。

 しかし、150メートルほど浮かせた所から大物の引きが次第に弱くなり、ほとんど引かなくなった。サメなら水面まで抵抗するはずだが、今度の大物は浮いてきたので、ひょっとしたらミーバイかと思い、途中から慎重に巻き上げた。水面近くなると、魚は勝手に浮いてきて、目の前の海面を割って巨大なカンナギが浮いた。1人で船に引き上げられず、船の横にロープで縛って帰港した。応援を頼んでおいた仲間とユニックで引き上げると、その口元には井本さんが過去に切られた針が数本も刺さっていた。 (おきなわ釣王国社・仲栄真修)

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