【MLB】秋山への「誠意」実ったレッズ 3年前から視察、1番乗りで契約交渉&オファー

レッズ・秋山翔吾【写真:Getty Images】

地元メディアが詳報、ベル監督は外野全ポジションこなせる守備力評価

 レッズは、西武から海外FA権を行使した秋山翔吾外野手と3年総額2100万ドル(約22億7600万円)で契約した。地元メディア「シンシナティ・ドットコム」は「レッズがショウゴ・アキヤマとの契約を今オフ優先した理由」とのタイトルで契約に至った経緯、チーム事情などをデビッド・ベル監督やディック・ウィリアムズ編成本部長らの証言も交えて伝えている。

 記事ではレッズはウインターミーティング前から日本人外野手ショウゴ・アキヤマのリクルートに注力していたという。「今オフのトップターゲットの1人だった。レッズは出塁率の高い打者を探していた。運動神経が高く、走塁に優れ、中堅を守れる左打ちの外野手を求めていた」と指摘した。

 ベル監督は外野全ポジションを守ることができる秋山の対応力に目をつけているようで「1つの外野ポジションだけでプレーすることは理に適っていないと思う。彼のように中堅を守れるなら、1つのポジションでプレーすることは大変稀だ。これが彼の獲得が理に適っていること、多くのプレー時間を得ることになる大きな理由だよ」と高く評価していることを明かした。

 チームは秋山獲得に向けすぐさま動いたようで「メジャーリーグを目指すと発表した時、レッズはすぐに資料を送った」と伝えている。この資料ではファンベース、(本拠地の)グレート・アメリカン・ボールパーク、シンシナティの生活、アリゾナ州グッドイヤーにある施設などについて紹介された。さらに、秋山がどのようにロースターにフィットするか、レッズが2020年にポストシーズン進出を目指せると考えていることなども詳細に説明されていたという。

 その後の行動も迅速だったようだ。記事によると、レッズが秋山に契約オファーした最初の球団であり、サンディエゴでのウインターミーティングで秋山と代理人のケーシー・クロース氏と最初に面談したのもレッズだったという。

 ディック・ウィリアムズ編成本部長は「日本人市場を見てきて、最初に面談することが大きいと分かっていた。ケーシーとショウゴがサンディエゴで最初に面談する球団に選んでくれたことはとても大きかった。良い印象を与えている良い兆しだと思い、積極的にアプローチし続けた」と振り返っている。

 ベル監督もウインターミーティングを振り返り、「面談は本当にうまくいったと思った。我々の言葉への反応を見ていると、彼にとっても大きなものだということが分かった。彼にとってだけでなく、家族のこともかなり考えていたことが分かったよ。我々はうまくフィットすると思った」と手応え十分だったことを明かしている。

3年にわたって環太平洋地域スカウト部長らが秋山を徹底マーク

 レッズは少なくとも3年にわたって秋山をスカウティング。レッズの環太平洋地域スカウティング部門長のロブ・フィドラー氏は度々、視察に訪れプロスカウトのテリー・レイノルズ氏とクリス・バックリー氏も何度も足を運んだという。

 FA市場で中堅手が不足していたこともあり、レッズはウインターミーティング後も積極的だった。秋山に連絡を取り続け、日本出身のシンシナティ住民と電話で話す機会も作ったという。

 フィドラー氏も「勝利にこだわり、レギュラー選手として多くのプレー時間を得る機会を求め、勝てるチームに貢献したい選手という印象を受けていた。我々は彼にそれをオファーできると考えた。(日本人)選手が西海岸、ニューヨーク、シカゴを希望するという考えは、少しなくなったと思う。彼らはMLBに挑戦したいんだ。選手として最高の機会を求めているんだよ」と説明している。

 記事はまた「二塁手マイク・ムスタカスと左腕ウェイド・マイリーに続き、レッズの今オフ3番目の大きなFA契約となった。2020年シーズンを迎えるにあたり、打撃の向上が最優先だった」と解説。ディック・ウィリアムズ編成本部長は「彼とムース(ムスタカス)は、8人のラインナップのうちの2人となる。既存戦力にも良い打者がたくさんいる。恐ろしい打者と、コンタクトに優れた出塁で脅威となる打者。こうした選手を2人獲得したことは本当に打線に火をつけることになると思う」と自信を示している。

 数年前からスカウティング、FA宣言直後に資料送付、ウインターミーティングで最初に面談して契約オファー、オファー後も密にコミュニケーション……。秋山に誠意を尽くしぬいたレッズが獲得に成功したのは当然の結果だったようだ。(Full-Count編集部)

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