「メメタァ×新宿ロフトの年末大感謝2019 〜年末ダヨ!全員集合!!〜」 2019.12.27@新宿LOFT&LOFT BAR

仲間たちと共に、あの日思い描いていたいつかの自身に手を届かせたメメタァの年末大感謝祭

新宿ロフト恒例の名物年末イベント「年末大感謝祭 年末ダヨ!全員集合!!」が今年は2019年12月27日(金)に行われた。

2014年より数年毎年年末に行われてきた同イベント。これまでは新宿ロフトのブッカーでもある樋口寛子が、その年に強い繋がりを持ったアーティストたちとの総決起集会的な趣きで行われてきたが、今年は樋口と共に4人組ロックバンド「メメタァ」もキュレーターとして加わり合同企画/開催とあいなった。

片や毎度会場を通し数多のアーティストの音楽性や活動を見守ってきた姉貴的存在の樋口。片や全国各地の現場で様々なバンドと共闘し、その歌内容や姿勢、行動力等を通しアーティストからの信頼性も厚いメメタァ。そんな信憑性の高い2者に関わりのあるアーティストたちが集った今回は、バンド/弾き語り問わず幅広い音楽性や、よりこれからのアーティストたちが集った感があった。中にはこの「憧れのロフト」に初めて立つアーティストもおり、今年はよりロフトの門戸の広さや新しい世代感、フレキシブルな音楽性が体感できたのも印象深い。

お昼頃より19アーティストが、ホールステージ、バーステージ交互のスイッチスタイルでノンストップにて敢行された同イベント。その大トリを飾ったのは、この日のキュレーターでもあったメメタァであった。

個人的な話になるが、私のメメタァとの出会いも2年前の「新宿ロフト年末大感謝」であった。初日(同年は2Days実施)のバーカウンターのトリを飾った彼ら。現在とは若干メンバーも違うが、西沢成悟(Vo.&G.)の選ばれざる者/持たざる者の立場から放たれる懸命でひた向きな歌と、届け!響け!伝わってくれ!そんな歌声や見た目からは伺えなかった歌や曲に込めた気概と秘めた情熱が当時の私の心を捉えた。

変わってこの日は大トリ。しかも満場のホールステージだ。西沢もきっと以前からこの日のような光景を思い浮かべ想いを馳せていたことだろう。そしてこの日はその際の光景の想像以上のものとして眼前に広がっていたのではないだろうか?それらは自身が信じ、突き進み、やり通した結果、実現し到達した夢や約束の地。そして自身にも、信じて進んできて良かった。ひた向きに信じて、それを一つひとつ実行していけばいればいつか夢にも届く。そんな実感とご褒美を得た感があったことだろう。そしてそれはこの日、彼らを慕い集った多くのアーティストたちにも伝わり、今後の活動の大きな自信や糧にもなったに違いない。

「時間を問わず、信じて進んでいった先に待っていたもの…」。そんな、お客さんを始め、集まったバンドや自身への「答え合わせ」のようなライヴをこの日の彼らは終始展開してくれた。

ラッツ&スターの「め組のひと」を登場SEにステージに走り出してきたメンバー。「めちゃめちゃ残っていてくれてありがとう」とサンライズ太陽(Dr.&Cho)が満場に感謝の意を伝える。

セッティング後、ドラムの前に集い円陣を作る西沢、工藤快斗(G.&Cho)、カワギシタカユキ(B.&Cho)。4人が手を重ね、気合い入れ後、各位が配置に就く。各位がアイコンタクトでスタートの確認をし、バンド一丸となったデモンストレーション音が会場に力強く放たれていく。そんな中、切り裂くような西沢のギターカッティングにバンドサウンドが重なっていくと1曲目の「ザ・ワールド」が会場を引き連れるように走り出していく。エモーショナルさのあるサウンドの上、その時に時代や周囲に選ばれない者でも信じていれば残っていられる。そんなことを体現してくれるかのような歌が場内に力を与えていく。

「こんな人がいっぱいのロフトは初めてだ!」と西沢。そのまま「僕がメガネをとったら」にし入ると同曲が擁するカウパンクのりが会場にバウンスを起こす。<メガネという特徴が無くなった際、何が自身やバンドのアイデンティティとして残るのか?><自分らが消えてもこの音楽があった証だけは残し続けてやる!!>そんな同曲に込めた秘めた想いがヒシヒシと伝わってくる。

カワギシもスラップを交え「ディスコビート」に移るとスリリングさとダンサブルさが場内に呼び込まれた。これまでの殻を破り自分の知らない世界に飛び込み、その先に待っている未知の素晴らしい世界へと想いを馳せさせ、結果それが自身を変化させてくれたり、自分の中にあった何かを呼び覚ましてくれることを信じさせてくれる歌が場内に更なるバイタリティを寄与していく。

この日を振り返り、サンライズが出てくれたバンド、一緒に作り上げたロフト樋口への感謝を告げ、西沢も満場を見回し。「凄い光景だなぁ。やれるもんだね」と嬉しそう。ライヴに戻り、ミディアムな「O.M.M」の際には、工藤によるワウのギターを交えたハネ気味の音楽性が、場内をたゆたわせるようにゆっくりと左右に揺らせていく。繰り返し歌われる♪誰かの為に歌えたら♪の気持ちが場内いっぱいに広がっていく。

サンライズによるキックの4つ打ちがつなぐ中、「ここまで来たことに胸を張って、最後は笑って帰りましょう」と「インスタントソング」へ。「胸を張れ。僕の日々よ」と力強く、誇らしく歌われる同曲が、あの日、決心し、信じ、進んできたことをこの光景をもって立証させていく。メンバーの力を与えてくれるようなコーラスと会場も大合唱で同曲を完成へと導いていった同曲。メンバーも変わり、挫折や苦難を経て、手に入れたこの景色で歌うこの歌は格別だったに違いない。

「ロックンロール」は西沢の歌い出しからゆっくりと伝えるかのように始まった。この曲が神々しかった。2コーラス目からバンドサウンドが加わり走り出した同曲が、自分の出自や動機や衝動、そして、それを超えたり、成ったり、変わったりする為にここまで歌い続けていることを改めて証として遺してくれるように響いた。

「与えられた役目が例え主役じゃなくて脇役でも、一生懸命やっていればいつかスピンオフの話がやってくるんじゃないかと最近思っています。今回、樋口さんから誘われた際、なんかそんな気持ちになりました。メメタァを常に観ていてくれてありがとうございました。神さまなんかじゃなくて、誰かが絶対に観ていてくれるもんだなと改めて信じさせてもらいました。今後もそんな歌を歌いたい」と「I wanna be」へ。あの人たちのように「いつかは自分の歌たちでみんなを救いたい」「いや、救ってやる!!」。そんな歌がそれを待っていた人たちへの蜘蛛の糸や一条の光のように真っすぐと伸びて届いていく。それにつかまったり、導かれたりするように場内中から誇らしげに挙がった力強い両腕はたくましくも気高かった。

同曲を終え、「これにて終幕。いよ~」と勧進帳風にサンライズが一旦占める。

アンコールの間には2月5日に初のフルアルバムの発売と、それと共に全国を回るツアーの告知がスクリーンに現れ、それこそご褒美のような報告に場内中が驚喜した。

アンコールは1曲。これからもよろしく的なアライアンスも込めて、♪今日と言う日はいつかの僕が観た夢さ♪と歌われた「デイドリーマー」が贈られた。初めて新宿ロフトのステージに立った際のガラガラだったパーステージからこの満場の光景へと続いていたその道程をも振り返らせた同曲。支え合い、一緒に夢を追いかけているアーティストたちへの讃歌と、この光景を一緒に作り上げられたことへの感謝。そして、それらをキチンと言語化したかのような歌が場内中に明日へと向かう力をしっかりと与えてくれた。

「今度はみんなが自身の信じたものに向かい歩んでいく番だ!!」。そんな夢や希望、未来や将来へのバトンをシッカリと満場や場内から観ていた出演アーティストへと40分のステージを通し手渡したメメタァ。その役割を終え、「今日ここに大切な何かをキチンと遺せた!!」。そんな満足そうな表情を場内に残し彼らはステージを去った。

セットリスト

1.ザ・ワールド

2.僕がメガネをとったら

3.ディスコビート

4.O.M.M

5.インスタントソング

6.ロックンロール

7.I wanna be

Encore

En.デイドリーマー

Text_池田スカオ和宏 Photo_小川愛晃

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