敬老パスの利用者負担増「やむを得ず」 横浜市に分科会答申

横浜市役所

 年額の負担金だけでバスや電車を利用できる横浜市の「敬老特別乗車証(敬老パス)制度」の見直しを検討してきた専門分科会は10日、市に答申した。対象年齢は当面、現状の70歳以上を維持する一方、利用者や市費の負担引き上げは「やむを得ない」と結論づけた。またICカード化などで利用実績を把握し、透明性を確保する重要性を説いた。

 答申を踏まえ、市は2020年度、見直しに本格着手する。

 分科会は、敬老パスが高齢者の外出や社会参加を支援する効果があることを確認し、持続可能な制度とすべき、との方向性で一致。

 その上で、利用者の増加に伴って交通事業者の負担が過大になっている現状を改善することが急務と指摘した。

 料金の徴収方法として(1)現行のフリーパス(2)利用上限設定(3)都度払い―を併記。それぞれに利点や課題があり、一つの案に絞り込むのは困難と市に判断を委ねた。所得制限については、高齢者の外出や社会参加を支援するとの目的に照らすと「適当ではない」とした。

 分科会会長を務めた県立保健福祉大学の山﨑泰彦名誉教授が同日、市役所を訪れ、荒木田百合副市長に答申書を手渡した。山﨑名誉教授は「持続可能な制度とするためには利用者、交通事業者、市の相互理解と協力が必要」などと述べた。

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