第5回 ドキュメンタリー映画『愛国者に気をつけろ! 鈴木邦男』のトークゲストに絢爛なメンバーが登壇

▲ベッドに横たわる著者(12月19日、椎野レーニン撮影)。

いよいよ2月1日から14日まで、『愛国者に気をつけろ! 鈴木邦男』が上映される。ポレポレ東中野だ。僕の家からは、普通なら10分も歩けば着く近さ。でも残念なことに、実は11月から入院している。
11月4日には、ロフトプラスワンで、『鈴木邦男の“言論の覚悟”VOL.1』というトークイベントがあった。僕の名前が冠になっているのに行けなかった。僕はロフトプラスワンがまだ新宿厚生年金ホール(今は名前が変わってメルなんとかというらしい)の近くにあった頃から、もう100回以上出ていると思うが、ドタキャンしたのは多分初めてだ(よく覚えてないが)。
イベントそのものは、『表現の不自由展・その後』で天皇の肖像を燃やしているとバッシングされた大浦信行監督の『遠近を抱えて part2』を見る! というテーマで、当の大浦監督も来てくれたし、この問題を何回も月刊『創』で取り上げて、事情に詳しい篠田博之編集長も出てくれた。また、この映画に唯一、生身の人間として出演しているあべあゆみさんも登壇したから、僕がいなくてもよかったようだ。ちなみに、映画の中で、天皇がコラージュされている大浦さんの版画『遠近を抱えて』が燃やされているシーンで、ブーツで版画の火を踏み消している(のかな)のがあべあゆみさんだ。

救急車で運ばれた

話は、ドタキャンに戻るが、実はこの時、救急車で運ばれていた。イベントに出るため身を清めようと風呂に入っていたら、体に力が入らなくなって、風呂桶から出られない。体に力が入らないのは、去年の2月に街中で転んで以来だが、腕にも力が入らなくて、立てない。

ちょうどこの日は、昨年の2月以来、週に何回か整理・整頓、掃除のために通っていただいている方がいたので、大声で呼んだ。そしたら、これはいけないと救急車が呼ばれてしまった。イベントには出られないが、仕方がない。ただ、大ごとになってはいけないので(なってるか)、司会・進行のレーニン椎野さんには、「風邪で臥せってる」という連絡にした。

救急車で運び込まれたのは、前回と同じ中野の警察病院。ここからのドタバタは、同じ日に発売の月刊『創』に書いたので、詳しくはそちらを読んでいただきたいが、概略だけ書いておくと、警察病院で下った診断は「腸閉塞」「腎不全」「感染症」で、2週間の入院を要す、とのこと。緊急入院して、ICU(集中治療室)にも入れられた。

その後、手術をしないといけないというので、阿佐ヶ谷の河北総合病院に移った。手術は成功し、ここに3週間ほどいて、次は荻窪城西病院に転院だ。リハビリに定評がある病院で、僕は今もリハビリ漬けの毎日。映画のアフタートークに出るべく頑張っています。

武田砂鉄、白井聡、内田樹、上祐史浩、松本麗華……さんたち14人がトークゲスト

で、やっと本題。映画は2月1日から14日まで、2週間。午後6時からの上映だが、7時半からは毎日ゲストを迎えて、監督とともにアフタートークが組まれている。そのメンバーが、僕にはもったいないくらいのラインナップになった。

まず初日が武田砂鉄さん(ライター)。この人が河出書房の編集者だった頃に、僕の本を何冊か担当してくれた。2日(日)が白井聡さん(政治学者)。今年も夏に、この博学の人とトークをやったが、その知識量と分析には聞き入ってしまう。対談にならず、講演にならないように、僕も頑張って話す。ただ、頭は健全だが、体力が持つかどうか心配。

4日(火)には、なんと松元ヒロさんも来てくれる。松元ヒロさんの公演には、ほぼ皆勤賞で見に行っていた。それくらい面白いし、風刺も効いているし、大好きだった。でも2019年は、恒例の12月の中野ゼロホールに行けなかった。寂しい限りだ。次の紀伊國屋には何とか行けるまで回復しないといけないな。12月には、代わりというわけではないが、寅次郎とレーニンさんが行ってくれて、僕のことを話したらしい。ヒロさんは「常連の鈴木さんが姿を見せないので、うちのカミさんと心配してたんです」と、気にかけてくれていたようだ。この時、トークへの出演も承諾してくれたという。

7日(金)は栗原康さん(政治学)が出てくれる。この人とも、何回か対談をしている。新潟県新発田市で毎年9月に行なわれている大杉栄メモリアルでも話した。僕が河合塾コスモで持っているゼミにも、可愛い彼女を連れて講義をしてくれた。

その他、出演日が決まっているのが、8日(土)の香山リカさん(心理学者)と9日(日)の金平茂紀さん(キャスター)だ。香山さんとは、去年、麻原彰晃やオウムの幹部の死刑が執行された時、疑問を呈する『真相究明の会』でご一緒して以来になる。金平さんとは、早稲田大学の金平ゼミで三島由紀夫と東大全共闘の討論の記録映像を見せてもらった時が最後かな。このお二人とは、言論の不自由について、意見を交わしてみたい。

11日(火・祝)は、内田樹先生(思想家・武闘家)が神戸から上京してくださる。鹿砦社から出した二人の対談集『慨世の遠吠え』は幸いなことに評判も売れ行きも良く、Part IIが出た。楽しみだ。

そして最終日は上祐史浩さん(光の輪)が飾ってくれる。上祐さんとも、徐裕行さんを含めた鼎談本『終わらないオウム』を出したし、その後もいろんな所で顔を合わせる。そうだ、徐さんに連絡してもらって、聞きに来てもらおう。そしたら舞台に上がってもらって、話に加わってもらおう。

その他、出演の承諾をいただいて、まだ日程が未確定な人々がたくさんいる。PANTAさん(頭脳警察)、寺脇研さん(元ミスター文部省)、松本麗華さん(a.k.a. アーチャリー)、足立正生さん(映画監督)、雨宮処凛さん(作家・アクティビスト)……全部、録音しておいて、対談集を作りたいくらいだ。

▲映画『愛国者に気をつけろ! 鈴木邦男』のチラシ

新刊『彼女たちの好きな鈴木邦男』が出る

それで思い出した。実は、2月の初めには、僕の新しい本が出る。いや、この言い方は正確じゃないな。僕も少し書くことは書いているが、対談やエッセーで構成された本だ。タイトルが『彼女たちの好きな鈴木邦男』。名前でわかるとおり、対談は、いま最も輝いている女性たち9人との過去の対談を収録したもの。望月衣塑子さん(東京新聞記者)、溝口紀子さん(柔道銀メダリスト)、赤尾由美さん(赤尾敏の姪御さん)、雨宮処凛さん、松本麗華さん、入江杏さん(ミシュカの森主宰)、ミサオ・レッドウルフさん(運動家)、三浦瑠麗さん(国際政治学者)、塩田ユキさん(監獄人権センター)たちとの対談が載っている。読み直してみると、時代相がよく出ていて、我ながら面白い。

エッセーは鈴木邦男への手紙、という格好で、香山リカさん、ユン・スヨンさん(フリーハグ運動)たちがいろいろ書いてくれた(らしい。まだ読んでません)。

面白いのは編者。なんと邦男ガールズ編だ。冒頭に紹介したドキュメンタリー映画『愛国者に気をつけろ! 鈴木邦男』にも、その証言が映されているが、瀧澤亜希子さんを初めとする、この間、僕を陰になり日向になりしてサポート(時にはおしゃべりだけだった時も多いが)してくれた女性たちが、面白がって作ってくれた。2月上旬、ハモニカブックスより発売だが、映画の上映期間中、ポレポレ東中野でも先行発売されるので、ぜひ手に取って、気に入ったら買ってください。

構成:椎野礼仁(書籍編集者)

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