不適切拘束の疑い複数 やまゆり園後継施設の運営見直し 検証委

津久井やまゆり園の支援実態を検証する委員会の初会合=神奈川県庁

 神奈川県立障害者施設「津久井やまゆり園」の後継2施設の運営主体見直しを巡り、同園の支援実態を検証する委員会は10日、県庁で初会合を開いた。昨年12月時点の利用者について過去5年分の支援記録を調べる中で、不適切な身体拘束が疑われるケースが複数あったと指摘した。

 検証委は非公開で行われた。終了後に会見した委員らによると、会合では入所者を施錠した部屋に長時間閉じ込める事案を2件確認。「身体拘束の要件と照らし合わせ、必要性が疑われる」とし、今後詳しく調査する。行動を制限する手袋をはめたり、車いすをベルトで固定したりする手続きもみられ、各利用者の症状などに応じた適切な支援だったか慎重に調べる。

 会見で、委員長に就いた国学院大教授で弁護士の佐藤彰一氏は「利用者が人間らしい生活を送れているか、福祉の観点から検証する」と強調。元毎日新聞論説委員の野澤和弘氏は「被告のゆがんだ障害者観は、福祉現場で働く中で形成されたのではないか」との見方を示し、「根本から検証していきたい」と述べた。

 黒岩祐治知事は報道陣に「検証によって県のこれまでの対応も問われる。課題を全部洗い出してもらう」と語った。

 検証委の指摘を受け、同園の入倉かおる園長は神奈川新聞社の取材に、「職員も拘束要件を意識するよう心掛けている。委員会から指摘があれば、当時の状況を改めて振り返る」と語った。

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