桜井日奈子の彼氏気分が味わえる? 斬新な主観ドラマ「オートリバースの恋」に大注目!

桜井日奈子の彼氏気分が味わえる? 斬新な主観ドラマ「オートリバースの恋」に大注目!

桜井日奈子さん主演の主観ドラマ「オートリバースの恋」が、1月12日にNHK BS8K、1月13日にNHK BS4Kで放送されます。“主観ドラマ”とは、カメラが主人公の目線になってストーリーが展開していく形式で、視聴者自身が主人公になったかのような気分を味わえるドラマです。物語の主人公は、大手企業に勤め、家庭にも恵まれた会社員・タロウ(声・小関裕太)。30年前に別れた彼女(桜井)との「30年後に、江の島でまた会おう」という約束を果たすため、ウオークマンで最後のデートを録音したテープを聞きながら、思い出の地を巡ります。今回は8K映像と22.2チャンネルの立体サラウンド音声で試写を拝見した後に、別れた彼女を演じた桜井さんから撮影の裏話などを伺いました!

──挑戦的で不思議な作品だと思うのですが、最初に台本を読まれた感想を教えてください。

「正直、オートリバースという意味が分からなかったので調べました。『タロちゃんはデート中にずっとテープを回していたんだな』と気付いた時に、オートリバースの意味を理解しました。結婚して子どももいるのに『もし、あの時自分が夢を追いかけていたらどうなっていたんだろう?』と30年前のデートのことを思い出してしまうタロちゃんの気持ちは、年齢を経ていないので分からないんですが、そういうものなんだろうなと思います。共感とまではいわないかなくても、きっと何年も経って“もしこうだったら、ああだったら”と考える。人間って、そういうものなんでしょうね」

──ドラマは臨場感があって、桜井さんと一緒にデートしている不思議な気分になれました(笑)。ご自身は実際にドラマをご覧になっていかがでしたか?

「主観ドラマというのは聞き慣れない言葉でしたし、どんな作品になったんだろうとワクワクしながら見ました。音がすごいですよね。誰かの話し声がしていると思ったら、反対側では電車が走る音がして…。自分の足音やいろんな音が混ざっていて、本当に作品の日常に溶け込んでいる感じというか。『あ、これが主観という意味か』と、音を聞いて納得した感じです。でも、自分が出ていたのでそわそわしちゃって(笑)。耳元でささやいている場面は、自分でもドキッとしました。とにかく音にこだわったドラマです」

──ドラマの中では、常にカメラに向かって演技をされていましたが、その形で撮影をされたことはありましたか?

「ないです。通常のお芝居だと相手の演技を受けてどう反応するかですが、全部カメラの向こうのディレクターさんの合図で演技をするので、今までにあまりやったことのない感じでした」

──通常のドラマとは違う作品の作り方ですが、撮影で苦労したことは何でしょうか?

「セリフを収録する時が一番緊張しました。声優ではないので専門的な技術はないですし、声だけで伝えるということに『本当に大丈夫かな』という不安はありました。でも、スタッフの皆さんが『すごくよかったです!』と褒めてくださったので、あまり気負うことなくできました」

──ロケでは水族館での撮影と写真撮影、そのほかはラジオスタジオでセリフを収録されたそうですが、完成形は見えていましたか?

「完成形は全然見えてなかったし、想像通りじゃなかったです(笑)。最終的なものを見て、こういう形になったんだなと思いました」

──音を大事にされている作品とのことですが、どんなふうにセリフを収録されて、どんなことを心掛けましたか?

「セリフの収録場所にダミーヘッドマイクを内蔵した人形が置いてあったんです。タロちゃんの左側にいるシチュエーションの時は人形の左側から、遠くから走ってくるシーンでは人形から離れて声をとるというように、シーンごとに距離や立ち位置を変えていました。タロちゃんの前にやって来るシーンでは、実際に歩きながらしゃべったりもしていました」

──いろいろな声を収録されたと思いますが、何が一番難しかったですか?

「後半の感情的になるシーンは小関さんとの掛け合いだったんですけど、感情を乗せて話すのは難しかったです。映像なら声が上ずったりかすれたりしても顔で表現できるんですけど、声だけだとちょっと気持ち悪いというか…。感情で持っていこうとすると汚い音に聞こえてしまうので気を付けました。楽しい場面やテンションが上がっているシーンは、小関さんのおかげもあってサクサクと撮れました」

──声だけの表現は難しそうですね。小関さんとの共演はいかがでしたか?

「セリフの収録日しかご一緒していないんですけど、私にちょっと似ていて天然な部分がある方で…。ディレクターさんの指示を『分かりました』と軽く受けてサクッとこなせる方です。フラットな空気感で収録できたので、気が楽でした」

──ご自身の演じられた女性をどのように演じようと考えられましたか?

「『年上の女性でタロちゃんを振り回してほしい』と指示されていました。タロちゃんの話を聞いていなくて、思い立ったらタロちゃんを置き去りにして進んじゃうような女性だったので、どうしたら振り回している感じを出せるかなと考えました」

──中盤で登場する路上ミュージシャン(つるの剛士)の歌が流れている時に、ライブをしているのかと思うくらい臨場感がありましたが、今後、この映像や音響で作れそうだなと思うことはありますか?

「ホラーとかいいですよね。サスペンスやホラーにおいては、音でより恐怖感をあおれるという点で面白いんじゃないかなと思います。今は22個のスピーカーや8Kテレビを持っている家庭は少ないかもしれないですけど…。何年か先は主観ドラマが一般的になるかもしれないので、新しいドラマに携われてうれしかったです」

──ありがとうございました!

付き合っていた彼女との最後のデートで30年後に会う約束をした主人公・タロウは、ウオークマンで30年前のデートの音声を聞きながら江の島を巡ります。彼女が無邪気に笑う声や甘くささやく声、けんかをしてしまった声を聞き、当時の記憶がよみがえったタロウは自分の人生の選択が正しかったのかを自問自答するのです。果たして、タロウは彼女と再会することができるのでしょうか? なお、BS4KとBS8Kで放送されるためご覧になれない! という方は全国のNHK各局で見ることができるそうです。BS8K 受信公開施設一覧(https://www.nhk.or.jp/bs4k8k/assets/pdf/bs8k_jyushinkoukai.pdf)にある放送局でご覧ください。桜井さんの彼氏気分を味わえる、男性の夢がいっぱい詰まったドラマとなっております!

【番組情報】


主観ドラマ「オートリバースの恋」
NHK BS8K
1月12日 午後7:30~8:00
NHK BS4K
1月13日 午後5:15~5:45

NHK担当 K・H

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