「映像研には手を出すな!」浅草みどり役の伊藤沙莉「原作ファンをがっかりさせない自信があります!」

「映像研には手を出すな!」浅草みどり役の伊藤沙莉「原作ファンをがっかりさせない自信があります!」

数々の漫画アワードを獲得した「映像研には手を出すな!」が1月5日にNHK総合にてスタートしました! 脳内にある「最強の世界」をアニメで表現するために映像研究同好会、略して“映像研”を立ち上げた浅草みどり(声・伊藤沙莉)、金森さやか(声・田村睦心)、水崎ツバメ(声・松岡美里)。3人の女子高校生が織り成す青春冒険部活ストーリーです。第1話では、3人の出会いが描かれ、浅草と水崎の即興合作が始まりました。ジェットコースターに乗っているような疾走感がある絵の迫力に魅了された方も多いのではないでしょうか? その中の主人公で「アニメは設定が命」と力説する浅草みどり役を演じる伊藤沙莉さんに、現場の雰囲気や作品への思いを伺いました!

──初めに、浅草を演じることになっての感想をお願いします。

「声優経験が浅いのに、こんな大役をいただいたので『私でいいんですか?』と一番に思いました。原作の大ファンのいとこからも『大好きなんだけど、お前がやるんかい!』と連絡が来て、ますます緊張して…(笑)。『映像研』はファンの方が多く、愛されている作品です。ちゃんとしたものにしたいという責任感が最初の段階から生まれました」

──原作はご覧になっていたのでしょうか?

「浅草役をいただいてから読みました。アニメ作りを作品で描くのは、新しく、アニメの知識が詰まっていて面白いなと思うと同時に、青春も感じます。仲間が増えていく話が大好きなので、物語の中で水崎が入ってきた場面は熱くなりました。学生たちが必死に『やるぞー!』となっている様子が、文化祭のようで懐かしかったです」

──3人の女子高校生がアニメ制作に夢中になっていく物語ですが、ご自身が高校生の時に熱中していたものはありますか?

「毎年あった文化祭ですね。体育祭や文化祭といったものがとにかく好きで、文化祭が終わったら来年は何をしようと考えていました。出し物をすごく考えて、高校1年生の時にはお客さんに人を探してもらうゲームを考えたんです。ただ探すのはつまらないと思って、任侠ものの脚本を授業中に書いていて、先生にたたかれたこともありました(笑)」

──(笑)。では、浅草とは違うタイプだったんですね。

「そうですね。クラスをまとめるのはうまくないんですけど、MCをやっている気分になるので学級委員をしていました。教卓の前に立って、生徒をいじったりするのは意外と好きだったので、浅草のように人が苦手ということはなかったです。でも、浅草ほどではないですけど、人見知りな部分もあるので言葉が変になったり、挙動不審になるのは分かります。音響監督の木村(絵理子)さんからは『浅草は常に何かを演じている子だから』と言われたんです。演じることでしゃべりやすくなるから、『男はつらいよ』の寅さんみたいなしゃべり方になっていたりします。私も自分の熱い気持ちを語ろうとすればするほど、人の顔が見られなくなることがあるので、そういうところは浅草とリンクするかもしれないです。第1話なんですけど、コインランドリーの2階で金森が水崎氏に『浅草みどりとアニメを作りませんか?』と言った時、浅草がもじもじして小さくなるシーンがすごくよくて、キュンキュンしちゃうんです。私も小さい頃はそういうふうにもじもじしていたことがあったので、『浅草、(気持ちが)分かるよ』といとおしくなります」

──先ほど、浅草は常に何かを演じているところがあるとおっしゃっていましたが、どういうところで出てくるんでしょうか?

「力が抜けていてお気楽なところは寅さんで、盛り上がっている時は活動弁士(活弁)の口上のように話しています。第2話でアニメを作っていく時に、水崎氏が気持ちいいくらいに話を聞いてくれるシーンがあるんですけど、そこは活弁にドラえもんの話し方を混ぜています。物を説明する時はドラえもんが多いですね。この前見た台本でついに『四次元ポケット』というセリフが出てきました(笑)」

──寅さんやドラえもんになっているセリフを探す楽しみ方もできそうですね。第1話を拝見した時に、よどみなく長尺のセリフを話す浅草に圧倒されました。

「スピードを意識するのが意外と難しくて。セリフに尺があるので、その時間内に収めようとし過ぎて時間が余っちゃうんです。だから、早口が得意なのも良し悪しで。スピード感もただセリフを言うだけじゃなくて、そこにどんな熱さを含んで、どこを強調して言いたいというのを考えながらやるのが一番難しいです」

──早口は得意ということですが、セリフをかむことはないのでしょうか?

「テストでやる時は結構かんで『あー!』となっていることはあるけど、本番は異常なほどの緊張感なので…かむことはあまりないですね。音を立ててもいけないから、みんなつま先立ちでそっと歩いているんですよ。でも、その感じが『声の仕事をしている!』という感じがして好きなんです。みんなが静かに台本をめくっているのを見ると、プロフェッショナルの中にいるという気持ちになって。もちろん自分も頑張らなきゃいけないんですけど、今まで自分が見てきたアニメがこうやって作られていたんだなと思うと、夢の体験をしているなと。その気持ちをそのまま声にぶつけている気がします」

──伊藤さんの作品に対する思いが乗っているからこそ、より一層熱い作品になっているんですね。

「第1話で、水崎役の松岡さんが早口で話すシーンがあるんですけど、上手なうえに、感情がしっかりと乗っているんですよ。それが本当にさすがだなと思っていて、少しの時間であの早口で気持ちが伝わるのが素晴らしいなと。自分もどんどんやっていけたらいいなと思いながら、熱がこもっている部分はヒントをいただきながらやっています」

──金森役の田村さんや水崎役の松岡さんからは何かアドバイスをいただくことはありますか?

「松岡さんもテレビシリーズや大きい役が初めてらしく、アドバイスというよりは一緒に悩んでくださいます。彼女は勉強熱心な方で、田村さんに対して『ここにアドリブを入れていいと思いますか?』などと質問をしていて。最初は耳をダンボにしてそれを聞いていましたが、最近は会話に入ったりもします。また、声の仕事ではアクセントやイントネーションをきちんとしなければいけないんです。『映像研』のイントネーションは平板なんですが、そういった間違いをなくすために、同じイントネーションの言葉を横に書いておくと、とっさに出るのでそれをやっていたんです。そうしたら、まさに田村さんも同じことをやっていらっしゃって。同じイントネーションの言葉を探していたら、『これどう?』と田村さんが提案してくださるので、松岡さんと2人でメモをしています。田村さんは基本的なことからテクニックまで教えてくださいます。ほかにも、音を立てずに台本をめくる方法も教わりました。私はセリフを間違えたくないから台本を近めに持っているので、熱がこもればこもるほど“ペラッ”という音が入っちゃって、そこを気を付けるのに必死で。でも、田村さんは音を立てずに片手で格好よくめくるので、横目で見てまねをしています(笑)」

──楽しそうな現場ですね! 田村さんのまねをする伊藤さんを想像してしまいました。最後に視聴者の皆さんへ見どころをお願いします!

「モノづくりというところもですが、好きなことに対して、みんなの元々あった心をくすぐるというか。事務所の社長に『少年心をくすぐられました』と言われたんですけど、それがすごくうれしくて。60代の社長なんですけど、そういう方が少年心をくすぐられるっていいじゃないですか。忘れかけていた思いを目覚めさせる感じが詰まっています。キラキラした青春もそうですけど、キャラクターたちの学生とは思えないプロフェッショナルな気持ち、やる気の熱さが『全国民に感染してしまえ!』と思っていて。日曜の深夜なので月曜がやって来ることを考えると憂鬱になると思うんですけど、それをぶっ飛ばすくらいの勢いでとても熱い作品になっています。アニメに対する見方もどんどん変わってきて、作品がこうやってできているんだというのも知れると『映像研』だけではなく、ほかの作品を見るのも楽しくなってくると思うんです。この作品をきっかけに、いろんなムーブメントが巻き起こるといいなと思っています。そして、すごく恐れ多いんですけど…原作ファンをがっかりさせない自信があります!」

──ありがとうございました!

音を出してはいけないという話の時は、現場での抜き足差し足の様子を実演してくださるなど、身振り手振りを交えて明るく楽しくお話ししてくださった伊藤さん。今にもあふれてしまいそうなほどの作品に対する熱い思いが伝わってきました。

さて、1月12日に放送される第2話では「映像研」が誕生。浅草と金森はアニメ研究部に入ることを禁じられている水崎とアニメを作るために、新しい部活を立ち上げようと奮闘します。金森が実写系の部活が教師に求められていることを知り、映像部を名乗ってアニメを作ることを発案。こうして「映像研」が誕生するわけです。これから「映像研」で3人はどんな作品を作っていくのか。第1話も駆け抜けていくようなスピード感がありましたが、これからさらに物語はヒートアップしていきます。個人的には伊藤さんの“活弁風ドラえもん”が待ち遠しいです!

【番組情報】


「映像研には手を出すな!」
NHK総合
日曜 深夜0:10~0:35
※関西エリアは、深夜0:45~1:10

NHK担当 K・H

© 株式会社東京ニュース通信社