九州商船が補助金違法と監査請求 新上五島町の所有船巡り

 九州商船(長崎市)は10日、競合する五島産業汽船(新上五島町)が運航する町所有高速船「びっぐあーす」の定期検査費を町が全額補助することを受け、同町にある関連会社名義で町監査委員に住民監査を請求したと明らかにした。請求は9日付。「公益性のない違法な補助金で、町に損害を与える」などとしている。
 五島産業汽船は町から同船を無償貸与され、鯛ノ浦(同町)-長崎航路で運航しているが、5年に1回ある定期検査費1億7千万円を捻出できる収益が見込めないという。昨年12月の町議会本会議で全額補助する補正予算案が可決された。
 監査請求書によると、補助金が支出された場合、町長にその金額の賠償を求めるよう勧告を要求。「1社には金を支出し倒産を回避し、もう1社には金を出さず赤字を続けさせ、企業の体力を疲弊させるのは永続性および航路の安定性に反する」などと主張している。
 町の担当課は「監査の結果を待つだけ」としている。九商の幹部は「請求が却下されれば訴訟も検討したい」と話した。

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