怒りと悲しみ抱えて 映画『家族を想うとき』 桜坂劇場・公開中

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 この作品を観賞して以来、私はちょっとおかしい。まず、ネットショップでは絶対買い物しない!と心に決めてみた。というのも、物語の主人公が、ネットショップの商品の配達員なのだ。

 「配達すればするほどもうかる仕組み」という触れ込みに、頑張って働く決意をするものの、実は配達1軒あたりの単価が激安で、ドロドロになるまで働かないとまともな金額にならない。届け先が不在ならカウントされず、休めば罰金、何かと罰金。「フランチャイズ方式」で、配達員全員が個人事業主のため、有給休暇も時間外労働手当もなく労災も認められない。

 これは映画の中のシステムではなく、イギリスの配達業界では常識なんだそう。罰金を嫌い、病気になっても病院へ行かずに亡くなった配達員もいるそう。 とはいえ、悪いのは誰?ネットで買う人? ネットショップ? インターネット? 社会? 行政? 権力者? 行き場のない怒りと悲しみを抱え、負の連鎖から抜け出せない主人公の姿が、日々頭をよぎる。監督はケン・ローチ。(桜坂劇場・下地久美子)