子どもの"家計力"を養うチャンス!効果的なおこづかいの渡し方とは?

みなさんは子どもにおこづかいを渡していますか?たとえ毎月決まった金額のおこづかいをあげていない家庭でも、必要な物を買うお金やお年玉など、子どもがお金を手にする機会は少なくないはずです。

大人になると誰もが少なからず家計を管理しますが、学校ではお金の上手な使い方や管理の方法を学ぶ機会はほとんどありません。「おこづかい」は、子どもにとってお金について学ぶ貴重なチャンスなのです。

そこで今回は、おこづかいを通して将来役立つ家計力を育てるコツを紹介します。


おこづかいを社会人に置き換えてみると?

おこづかいは自立した後の事前練習ですので、大人の収入の入り方になぞらえておこづかいの渡し方を考えると分かりやすくなります。

<おこづかいの渡し方別のイメージ>

定額制…決まった頻度で定額のおこづかいを渡す。会社員の給料のイメージ。

都度制…お手伝いや必要があるたびにお金を渡す。自営業やフリーランスのイメージ。

臨時収入…お年玉や祖父母からのおこづかいなど。ボーナスや公的な補助金のイメージ。

(1)定額制おこづかいのポイント
おこづかいの頻度や金額が保障されている定額制おこづかいは、まるで会社員の給料のようです。子どもは定期的に決まった金額をもらうことで、一定金額内でやりくりする力や、欲しいものを買うために計画を立てる力などが身につくでしょう。

ただ、簡単に欲しいものが買える金額を渡していたら正しい金銭感覚が身につくか疑問です。親は子どもが何にお金を使うのかをある程度把握できるよう、「おこづかいの使い道をあらかじめ親子でよく話しあって必要最低限の金額を渡す」「おこづかい帳をつけてもらって支出内容を報告してもらう」などの工夫が必要です。

より給料らしくするために、「お金=労働の対価」を意識できる条件を盛り込むのもおすすめです。「子どもの頑張りに応じて金額をアップする」「あらかじめ約束したことができなかったら減額する」など、子どもに合った方法を親子で考えてみましょう。

(2)都度制おこづかいのポイント
都度制おこづかいは、子ども自身がお金を必要な理由を親に説明したり、お手伝いをしたりと、何かしらアクションを起こす必要があるため自営業やフリーランスに近いでしょう。

買い物のたびに本当に必要な支出なのかどうかを考える力が身につきやすく、お手伝いなどの労働に見合った金額を与える場合には、働くことの大切さを覚えることができるでしょう。

都度制おこづかいの難しいところは、親の判断や管理が多く必要になる点です。子どもに欲しいと言われたらすぐにお金を渡すようでは、良い教育になるとは言い難いです。「渡す金額は労働に見合っているか」「本当に必要な支出なのかどうか」などを毎回親子で納得いくまで話し合うことが大切です。

(3)臨時収入は2つに分けよう
親が金額や頻度を決めにくい祖父母からのおこづかいやお年玉などは、会社員のボーナスや公的な補助金のイメージが近いでしょう。

子どもが臨時収入をもらったときは、大きく2つに分けるよう教えるのがおすすめです。「近いうちに欲しいものを買うために使うお金」と「将来の自分のために使うお金(=貯金)」です。もらった金額に応じて、貯金の割合を多くしておくと良いでしょう。

ボーナスや補助金を自分の好きな物に全額つぎ込む大人になって欲しくなければ、臨時収入は一度に使い切らない習慣を子どもに身に着けさせることが大切です。

貯金の大切さはどう教える?

子どもに貯金の大切さを使えるのはなかなか難しいものですが、あえて子どもに貯金を使う機会を与えて、貯金の大切さを実感させると良いでしょう。

高額な買い物をするときに貯金を使うほか、子どもの物が壊れたときに修理や買いなおすためのお金(=緊急用の貯金)や、習い事や部活などの自分の好きなことに使う金(=自己投資用の貯金)を子ども自身の貯金から出させるのも一案です。

あわせて、使いすぎや紛失を防ぐために貯金箱や銀行口座の活用方法や、定期預金で金利分のお金が増えるという資産運用の考え方を教えるのもおすすめです。

子どもに合わせてレベルアップしていこう

おこづかいは「好きなものに使えるお金」をイメージする人もいるかもしれません。しかし、おこづかいは自立後の家計管理の練習だと考えると、好きなものに使うお金以外も子どもに管理させられるようになると理想的です。

下の表に、おこづかいのレベルアップの例を紹介しています。あくまでも一例ですので、親の教育方針や子ども自身の管理能力に合わせて、無理のない範囲で取り入れてみてください。

<おこづかいのレベルアップの例>

失敗こそが貴重な経験

ときには「お金を紛失した」「無計画に使いすぎた」「友達同士でトラブル発生」など、親が目も当てられないような失敗をすることもあるでしょう。

しかし、この失敗体験こそが子どもの将来に役立つのです。大人になってからの失敗は被害の金額も大きくなりやすく、借金や盗難などの深刻な事態に及ぶ可能性もあります。

子どもが失敗したときは叱ることも大切ですが、同時に「なぜそのような行動をしたのか」「どうすれば防ぐことができるのか」を親子でよく話し合って同じ失敗を繰り返さないようにすることが何よりも大切です。

おこづかいの渡し方に正解はない

おこづかいの渡し方はそれぞれ良い面があります。定額であげるおこづかいはあえて少なく設定してお手伝いのお駄賃で補完してもらうなど、「定額制+都度制」も良いでしょう。

おこづかいで一番大切なのは、お金の大切さやお金を上手に管理する方法、満足感の高いお金の使い方を子どもたちが身に着けていくことだと筆者は思います。

子どもが将来お金のことで困ることがないように、おこづかいを通した金銭教育にぜひ力を入れてみてください。

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