プログラミング教育 市町の取り組みにばらつき

 長崎県内の教育委員会や学校現場は、早いところでは2016年度から研修や模擬授業などで準備を進めてきた。既に学習計画を固め、先行実施しているところもあるが、市町の取り組みにはばらつきがある。
 県央地区の男性教員は「何度か研修は受けたが、準備は進んでいない」と明かす。「実際に子どもたちにどのように教えれば良いのか。英語も教科化される5、6年の担任の負担は一層大きい」と言う。
 県教委は昨年3月、県内の実践事例などをまとめたスタートブックをホームページで公表し、各小学校に準備を促した。県教育センターと連携して地区別の研修会や模擬授業を重ね不安解消に努めてきたが、担当者は「教科ではないため授業時間数の決まりはない。現場の戸惑いは大きいのではないか」と推測する。
 長崎市教委は16年度から教員研修に取り組んできた。18年度は授業研究をしていた教員が各小学校で模擬授業を実施。その報告書では「児童が想像以上に意欲的」「こんなに主体的に取り組む姿は想像できなかった」「不安はあるが、とにかくやってみよう」という前向きな感想もあったという。昨年10月にはプログラミングを使って正多角形を描く5年算数の公開授業を2校で行い、市内全校の教員が見学。3学期は市内全ての5年生が公開授業と同じ内容に取り組む。教員向けのアンケートで課題を掘り起こし、本格開始につなげる。
 五つの小学校がある西彼長与町の教育委員会は独自に学習指導計画を作成。今春からは全校が「総合的な学習の時間」で同じ授業をすることを決めた。19年度は5校の6年生を対象に計画に基づいた授業を先行実施。おもちゃの車の自動運転に挑戦させた。当初は児童が課題をクリアできたかどうか教員が確認していたが、児童が互いにチェックする方式に改めて負担軽減を図ったという。

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