使っている装具につけるだけ 新発想の歩行学習支援ロボットを開発、発売へ

京都大学大学院医学研究科・大畑光司講師、佛教大学保険医療技術学部・坪山直生教授、京都工芸繊維大学機械工学系・澤田祐一教授らの研究グループは、歩行学習支援ロボット「Orthobot」(オルソボット)を開発した。本機器は製品化され、2020年3月に発売を予定している。

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現在国内には、脳卒中の患者数が130万人に上ると言われており、後遺症や脊髄損傷等により、歩行に何らかの障害を抱える患者は多い。患者は歩行トレーニングを行って歩行機能の改善を図る必要があるが、介護施設やデイケアなどで効果的なトレーニングを提供するのは容易ではない。また、歩行機能が低下すると、易疲労性や転倒リスクの増加、活動量の低下、廃用症候群を引き起こすリスクを高め、最終的に訓練もできず重症化してしまうという問題もある。さらに、高齢社会の進んだ日本において、リハビリテーションのロボット化は必要な取り組みでもある。研究チームは、産学連携で社会にイノベーションを起こすことを目指す京都大学の取り組み「京都大学COI(Center of Innovation)」の一環として、歩行学習支援ロボット「Orthobot」を開発。駆動用モーターの内蔵されたOrthobot本体ユニット、充電池と操作パネルが搭載された腰ベルトユニットで構成され、使用者が脳卒中後の歩行リハビリで使用する KAFO(長下肢装具)に取り付けるだけで、装着者の歩行を本来あるべき歩行運動に誘導することができる。本体ユニットは約1.2kg、腰ベルトユニットは約1.8kgと軽量で、装着者への負担を最小限に抑えた。腰ベルトユニットは介助者が持つことも可能。今後は、特定臨床研究を実施して効果検証を一層高め、より高度な医療向け機器の開発を行っていく。2020年3月には、フィンガルリンク株式会社を通じて販売を開始する予定。論文情報:

【2017 International Conference on Rehabilitation Robotics】Development of new rehabilitation robot device that can be attached to the conventional Knee-Ankle-Foot-Orthosis for controlling the knee in individuals after stroke

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