指導者が本音で語る「伸びる子/個の育て方」 みんなのトレセンシリーズ

ジュニアサッカーNEWSでは、全国各地からトレセンコーチ・チーム指導者にインタビューに応じていただきました。
インタビューをまとめて「みんなのトレセン」シリーズをお送りしています。

「子どもを伸ばす」って簡単に言うけれど、伸びる子と伸びない子って何が違うのでしょうか。きっと保護者の方なら一度は考えたことがあると思います。

子どもにスキルを教えるのは指導者ですが、育てるのは保護者です。素質がある子でも、伸びないことはあるといいます。「こう育ててくれたら伸びる子になるんだけど」「こういう環境で育ててきてほしかった」「(チームに対して)こう育成してほしい」という指導者の本音を伺いました!

※下記の意見は、サッカー協会の示す公式な見解ではありません。
あくまでも一つの意見として参考にしてください。
また、サッカー協会へのお問い合わせ等はお控えください。

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「勝ちにこだわりすぎる親の子は伸びない」

※( )内編集部

G
ポジティブに物事を考えている子は伸びる。人としての要素がはっきりしている、「良い子」ではなく「個」としてしっかりしている子は伸びる。意見をはっきり言ったり、やんちゃであっても大人と対等に話ができたり。

C
楽しくサッカーをしている子は伸びる。サッカーを楽しんでいないときつい練習に耐えられない。やらされている感があると伸びない。言われたことしかできない子は伸びない。失敗を恐れて監督やコーチに言われたことしかできない子は伸びない。 勝ちにこだわる親も中にはいるが、その子は伸びない気がする。自由にサッカーをできない環境が家であるのかも。

チーム指導者
勝った負けたで家で怒られすぎたりする子は委縮してチャレンジできなくなる子がいる。反骨精神で頑張る子もいるとは思うが、多くは逆効果だと思う。失敗しなければ怒られないから、何もしなくなってしまう。

チーム指導者
大人も褒められたりするとうれしい。小学生は失敗してもいいから誉める。どんな失敗をしてもいいから思い切りほめる。それが大事。失敗しても褒められたらどんどんチャレンジする子になる。チャレンジをすると最終的に技術が付いてくる。自身のない子はボールをすぐに離す。相手が近づいてくるとすぐパス。失敗してもいいという子はチャレンジ精神があるので、1対1で抜けるメンタルが育つ。うまくなったから負けないというメンタルも育つ。

G
認 めてあげる、否定をしない。環境の変化に強くないと、体調を崩したり怪我をしてしまう子もいる。人としてなっていないとダメ。

トレセンコーチ
上を目指している子のやる気スイッチは自然に入る。少年サッカーは費用対効果は悪いと思う。その場の勝った負けたで終わっていいのかな。その場にフォーカスすると、将来は見えなくならないか。一試合一試合は確かに大事だが、それにフォーカスしすぎてはいけない。(将来を見て指導するのが)育成としての責任。

チーム指導者
100%コーチを信じている子はうまくいく。これは、コーチの指導力にももちろんよるとおもうが、子どもは信じていない人のいうことは聞かないから。が、家で親が指導者の悪口や文句を言ったりする。子どもは親の価値観を正確に受け取る。うまくしたかったら家で指導者を悪く言うということはしてはいけないと思う。子どもは親を信じているから、親が信じない人のことは信じない。それはとてももったいない。

 

まとめると・・・

  • 子どもを認める。
  • 勝負の結果にこだわりすぎない。
  • 子どものチャレンジが失敗しても怒らない。
  • 指導者の文句を子どもに聞こえるように言うのは考えもの。

指導者間にも厳しい声があります。

「チャレンジしない理由は指導者にある」

チーム指導者
自信のない子は技術が足りない子。自信を無くしているのはチャレンジしないということ。チャレンジしない理由というのは、その子を預かっている指導者の声掛けやコーチングによるところが大きい。

トレセンコーチ
その子がうまくなるかどうかは担当コーチを信じるしかない。子どもは100%指導者を信じていればうまくいく。小学生年代は信じるコーチがいればうまくなる。親も引き込んで信じさせなければならない。

トレセンコーチ
良い指導者にならないといけない。指導者が選び方、教え方、きちんと学ばないといけない。(ある地区は)実際は引き受けさえすれば誰でもトレセンコーチになれるので、それをきちんと育成につなげられるように。

チーム指導者
のびのびしているチームはポジションを固定していないことがある。そういうチームの子は伸びしろが大きい。決まりきったプレーをしていないチームの子も伸びしろが大きい。楽しまないと成長はない。押し付けで教えてしまってはいけない。

子どものサッカーは保護者と指導者の両輪がそろってうまくいく、というのはみなさんに共通する意見でした。指導者だけ、保護者だけ、という育成はない、と語ってくれた指導者の方もいらっしゃいました。

チーム指導者
僕たちがどんなに頑張っても、週に6時間、8時間しか子どもに接することはできない。そして、指導は平等です。ひとりだけよそへ呼んで、お前にだけこれを教えてやるなんてことはないわけです。保護者の皆さんは週何時間子どもと一緒にいるか、っていう問題ですよ。僕たちだけでは無理なんです。負けると文句、勝てば感謝、というのは違うと思う。一緒にやっていこうという意識が大事だと思うんです。僕たちの話をもっと聞いてほしい。

「サッカーを楽しもう」という言葉はいろいろな意味を持ちます。「勝って楽しい」という価値観もあれば、「負けたけどうまくなってたから楽しい」「一度しか成功しなかったけど、今までできなかったことができたから楽しい」という価値観もあります。自分の価値観とチームの価値観、コーチの価値観、子どもの価値観を確かめてみることも大事なのかもしれません。

※上記の意見は、サッカー協会の示す公式な見解ではありません。
あくまでも一つの意見として参考にしてください。
また、サッカー協会へのお問い合わせ等はお控えください。

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最後に

「伸びる子」は、スポーツだけで使われる単語ではありません。勉強でもよく使われています。そして、この2つはとてもよく似ていると思います。

今回はちょっと「トレセン」という主題からは離れました。が、トレセンがうまくなるための手段であるとしたら、「伸びる」というのは避けては通れないテーマだと思い、取り上げました。育てたい気持ちは保護者も指導者も同じだとインタビューを通して強く感じました。

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