画像は『はぎうだ光一オフィシャルwebsite』より
新聞の読み比べでたまらないのは「評価」が分かれるときである。これぞ醍醐味と思う瞬間である。
最近で言うなら萩生田光一先生をめぐる記事であった。
毎日新聞は大晦日の社説で政権の一年を振り返っていたのだが、後半に萩生田光一先生の話題が出てきたのである。
《失政も目立った。来年度からの大学入学共通テストで予定されていた英語民間試験と国語、数学の記述式試験が見送られたのもその一つだ。》
ああ、例のあの騒動だ。
《萩生田光一文部科学相の「身の丈」発言に批判が殺到したことから大慌てで見直したものの、問題点はかねて指摘されていた。政治主導で進められた改革に文科省がブレーキをかけられなかった大失態だった。》
やはりというか萩生田光一先生のご活躍についてもツッコむ毎日師匠。しかしこの問題については年末の読売の記事も私の目をくぎ付けにした。
『[検証・大学共通テスト]民間試験延期「任せるよ」…首相の一言 文科相決断』(2019年12月30日)という記事である。あの騒動を「関係者の証言をもとに舞台裏を検証した」というのである。
それによると、
《「英語民間試験の活用は延期したい。その方向で考えてほしい」10月初旬、文部科学相の萩生田光一は高等教育局幹部にこう伝えた。》
さらに次。
《萩生田は9月11日に文科相に就任してから再三、疑問点を問いただしていた。》
《萩生田は「民間試験を入試に使う制度上の問題がある。延期した方が良い」との思いを強めた。》
萩生田光一先生、カッコイイ!
「延期決断には大きな勇気が必要だった。」というではないか。すると、
《背中を押したのは首相の安倍晋三だった。萩生田が「英語民間試験は問題があります。私は無理だと思っています」と伝えると、安倍は「萩生田さんの方が現場をよく分かっているんだから任せるよ」と応じた。》
こちらもまたカッコイイ! すばらしい美談ではないか。
しかしこのあと英語民間試験の是非は政治争点に浮上した。なぜなら「発端は自らの失言だった」だからだ。なんだかわからない展開である。やはり萩生田光一先生をカッコよく書くには無理がある?
それにしてもこれ、新聞読み比べとして非常に面白い物件である。
萩生田先生は果たして『「身の丈」発言に批判が殺到したことから大慌てで見直した』(毎日)のか、それとも就任当初から『英語民間試験の活用は延期したい』(読売)と思ってアツく動いていたのか。
2020年も萩生田光一先生のご活躍に注目である。今年はどんな失態を演じるのだろうか。(文◎プチ鹿島 連載『余計な下世話』)