東京ドームでビッグマッチ実現か WBAミドル級王者の村田諒太

WBAミドル級世界戦の5回、スティーブン・バトラー(右)を攻める村田諒太=横浜アリーナ

 世界ボクシング協会(WBA)ミドル級チャンピオン村田諒太(帝拳)が、2020年「トップ・オブ・トップ」(最強の座)を目指す壮大な構想が明らかになった。

 対戦相手として予想されるのが、ミドル級の2大スター、サウル・アルバレス(メキシコ)とゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)だ。

 ともに文句なしの実績を誇り、実現すれば世界中のファンが熱狂するのは間違いない。場所は東京ドームが有力候補だ。

 村田は昨年7月、王座に返り咲き、12月の初防衛戦では5回TKO勝ちを飾った。

 2試合とも攻撃的なボクシングが目立ち、「消えかかっていた火を燃えさせてくれた」と表現。1月12日に34歳の誕生日を迎えた男はさらなる夢へ闘志を燃やす。

 「皆さんが盛り上がってくれる試合をしたい」と語るようにモチベーションも上がっている。

 29歳のアルバレスは「カネロ」(赤毛)の愛称を持ち、強烈な左右フックが自慢。WBAで村田より上位に位置づけされるスーパー王座を保持する。

 昨年11月には2階級上の世界ボクシング機構(WBO)ライトヘビー級王座を11回TKO勝ちで奪取。すぐに返上したが、実力を大いにアピールした。

 戦績は53勝(35KO)1敗2分け。スタミナも十分で、試合が終盤に入っても強打は衰えない。

 ゴロフキンは37歳。ボクサーとしての全盛期を過ぎた感はあるが、積み上げたキャリアは抜群だ。

 アテネ五輪ミドル級で銀メダルを獲得し、プロに転向。WBA王座を19度も防衛した。

 2018年、アルバレスに小差の判定で敗れ、タイトルを失ったが、昨年10月、国際ボクシング連盟(IBF)王座に返り咲いた。

 戦績は40勝(35KO)1敗1分け。連打が持ち味で、そのタフネスぶりは驚異的だ。

 村田と契約する米興行大手トップランク社のボブ・アラム氏は「大きな試合を用意したい。五輪前に東京ドームでやりたい」とも語っている。

 東京ドームでの世界戦といえば、30年前の1990年2月が思い出される。

 無敵の世界ヘビー級王者マイク・タイソン(米国)がジェームズ・ダグラス(米国)に10回KOで敗れた試合は「世紀の番狂わせ」と今なお語り継がれている。

 村田対アルバレス、または対ゴロフキン。どちらにしても歴史に残るような打撃戦は必至だろう。ビッグマッチ実現が待たれる。(津江章二)

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