ジュニアサッカーNEWSでは、全国各地のトレセンコーチ・チーム指導者にお話を伺いました。インタビューをまとめて「みんなのトレセン」シリーズをお送りしています。
今週は「女子トレセンについて」です。
男子のトレセン制度はもうすでに始まってから25年を経過していますが、女子のトレセン制度が本格的に整備され始めたのは2005年でした。「なでしこジャパン」という愛称が生まれた2004年から1年遅れてのスタートでした。そこから試行錯誤を経て、2020年で15年になります。
2019年現在、4種は男子も女子も混合で「4種」とカウントされ、「女子」としてカウントされるのは3種年代からです。女子選手の登録数は全国で28,765人。サッカー人口の2.7%にすぎません。(登録数参照:JFA)
そのためか、今回のインタビューの指導者20名の中でも、女子トレセンについて詳しいという方は一部でした。
女子トレセンの問題点について、追加情報を元トレセンコーチの方からいただきました。→こちら
女子トレセンの区分は男子トレセンとほぼ一緒で、U-23日本代表の枠がありません。U-20日本代表の上のカテゴリーはなでしこジャパンになります。
各地で行われているトレセンも、4種の段階ですでに男子・女子と分けて練習を行う地域と、4種は混合で行う地域があるようです。
※下記の意見は、サッカー協会の示す公式な見解ではありません。
あくまでも一つの意見として参考にしてください。
また、サッカー協会へのお問い合わせ等はお控えください。
地域によって違う「女子トレセン」
女子トレセンはお住いの地域でどのように育成されているか尋ねてみました。※( )内編集部
トレセンコーチFFP
(4種年代の県トレセン、夏の全国研修会に参加)は女子も男子も混合。女子トレセンという別のものもある。その中で男子に交じってFFPに出てくる子もいる。(選考は)同じ条件で選ぶ。選手によって、女子トレセンに行くとか男子と混合でやるとかそれぞれ決める。同じような日程で行うので、二択になりがち。チームや個人の判断にゆだねる。
チーム指導者
女子トレセンに入れるのは、女子のみのチームにいる子のみ。大会によっては男子チームの中に入っている女子も参加できるが。(女子選手自体が)小学生年代ではマイナー。
チーム指導者
(男子が地区トレセン選考から始めるのに対し)女子はいきなり県トレセン。男子よりは入りやすいが、いきなり他県の子と試合をするようになる。
チーム指導者
4種は男子の中で女子枠のようなものがある。1割が女子。女子は中学より上にならないと専門的な(トレセン)チームはない。
チーム指導者
女子トレセンは4種では分かれていない。女子は(男子より一カテゴリー上の)地区に行って選考会に出る。
ポイント
女子のトレセン制度は地区によってばらばら。
日程が被ることも多く、混合か女子かの2択を迫られる。
細かな区分がないため、いきなり県トレセンになるチャンスもある。
男子と混合チームにいると、女子トレセンに参加できない地域もある。
選考基準は男子と違うのでしょうか?
「女子だから」の違いはあるか?
4種は男子と同じチームでピッチに立つこともあります。小学生年代の県トレセンにも、U-12ナショナルトレセンにもいつも数名は女子が混じっています。そんな女子の選考について、男子との違いはあるのでしょうか?
チーム指導者
(同年齢なら)女子のほうが大人なので、理解力は高い。男子よりもいいコーチングをする女子はたくさんいる。
チーム指導者
メンタルで男子に気後れしない子が多い。上にいく子は、男子とやることに対して抵抗を持っていない子。気持ちで男子に負けると、技術が出せないまま試合が終わる。トレセンコーチ(男子と)同じ条件で選ぶ。
ポイント
特に女子だから、という違いはない。
選考ではないけれど、ということでこのような意見もありました。
チーム指導者人間関係はちょっと違うと思う。女子は難しそう。プレー以外のところで苦労があるというか。
女子トレセンの問題点は?
2019年で14年になる女子トレセンには、まだまだ問題が山積みなようです。
チーム指導者(女子トレセンは)見きれていない。慢性的に人手不足。チーム指導者人口がまだまだ少ないので、女子だけのチームだと学年関係なく低学年の子も出せる。構造が違うので。それが強化につながっている一面もあると思う。チーム指導者小学生年代ではマイナー。トレセンも、女子があるらしいけど、というくらいの感覚。
元女子トレセンコーチ(小学生高学年)
残念なことに女子トレセンは指導者(代表の監督含む)の質がとても低い。
有名で優秀なコーチは男子を見たがるし、女性の指導者は優秀なコーチの下で指導を受けていない方が多いのでちゃんとした指導が出来ていない方が多い(差別ではなく事実です)。
また、女子トレセンの中だけで完結しようとする傾向が強いので、閉鎖的な環境になりがちで、一部の人(年配の人)が権力を持ってのさばっていたり、指導者が他との交流が少ないので技術や戦術の進歩が非常に遅いように見える。
指導者不足、マイナー、その中でなでしこジャパンはFIFA女子ワールドカップ開催以来7大会すべてに出場、オリンピックも女子サッカーが競技種目となってから6大会中4回に出場しています。
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最後に
女子選手の保護者の方と話をしていると、いろいろなことを聞きます。
チームが地元に少ない中でサッカーを頑張りたいと思った場合、中学から県外へ出なければならない話。人数が少ないのでトレセンのチャンスも多い反面、一気に移動範囲がエリアに広がって送迎でへとへとになる話。
指導者の方と話していると、「女子トレセン…よく知らないんだよね」という言葉もよく聞きます。知られていない中で頑張っている女子サッカーにも、もっと注目していきたいと思っています。