春の高校バレー 東龍が8年ぶり優勝 受け継がれる伝統の精神

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第72回全日本バレーボール高校選手権大会

1月12日 武蔵野の森 総合スポーツプラザ

決勝 東龍3–0古川学園(宮城)

 

 春の高校バレー女子決勝で、東九州龍谷(東龍)が古川学園(宮城)を3-0のストレートで下し、8年ぶり7回目の優勝を決めた。昨年までの2年連続決勝敗退を糧として、今大会では戦うごとに強さに磨きがかかった。決勝は快勝だった。キャプテンの荒木彩花(3年)は、「三度目の正直。今年は絶対に負けるわけにはいかなかった。先輩たちの悔しさを晴らし、日本一になれてうれしい」と歩んできた日々に思いをはせた。

 

 最高で金、最低でも金。最終的に一番大切なのは日本一への強い気持ち―。決勝前夜の荒木の部屋から大きな掛け声がこだました。全体ミーティングを終え、3年生10人が荒木の部屋に集まった。高校3年間、苦楽を共にした仲間だ。「3年間辛いことの方が多かったけど、同級生がいたからがんばれた。明日が最後の試合になるね、なんて話した」とマネージャーの古賀結衣(3年)。10人それぞれが思い出を話し、泣いたり笑ったりした。最後に荒木が「みんなに出会えたことに感謝している。明日が最後の試合。3年生10人の力で日本一をとりたい」と熱のこもった言葉で締め、手をつなぎ、前述の掛け声で解散した。

 

 決勝のパフォーマンスは今大会最高だった。荒木の先制スパイクで試合が始まり、序盤からエンジン全開。荒木に呼応するように佐藤華純(3年)がブロックで奮闘し、リベロの吉田鈴奈(3年)が好レシーブでチームを盛り上げる。3年生の力強いプレーに後押しされ、エースの室岡莉乃(2年)、佐村真唯(1年)が左右のサイドから緩急をつけたスパイクを打ち込んだ。リードを一気に広げてセットを先取し、勢いそのままに2セットを連取する。第3セットは一進一退の攻防が続いたが、粘り強いレシーブでがまん比べに勝つと、終盤はサーブで崩し、圧倒した。

優勝が決まった瞬間の東龍の選手たち

 日本一を決めた瞬間、ベンチから選手が駆け出し、荒木を中心に歓喜の輪が広がる。荒木は、「やっと優勝できた。2年間はあと一歩のところで涙をのんだが、3度目の正直で日本一になれた。全員で勝ち取った優勝。胸を張って大分に帰れる」と大粒の涙を流し、喜んだ。

 

 日本一への道のりは決して平坦ではなかった。新チームになって初の公式戦となった1月の県高校新人大会、決勝戦はフルセットまでもつれ込んだ。3月には長年チームを率いた相原昇監督が22歳以下の日本代表監督となりチームを離れ、チームに動揺が走る。全国高校総体では予選で苦戦し、本戦ではベスト8。日本一を宿命づけられたチームに陰りが見えたが、ここからV字回復。「選手は不安だったと思うが荒木を中心にまとまった。これまで継続してきたバレーをすれば勝てると腹をくくってくれた」と竹内誠二監督。粘り強くつないで、テンポの速い高速バレーで相手の的を絞らせなかった。

 

 自分たちのバレーボールを突き詰めた結果が国体準優勝となり、「最高の舞台で最高のバレーをしてくれた」(竹内監督)。春の高校バレーでは準決勝までセットを落とすことなく勝ち上がり、2年連続決勝で敗れた宿敵・金蘭会(大阪)との準決勝にフルセットの末に勝利。全国3852校の頂点に駆け上がった。「悔しい負けを知って強くなれたが、後輩には勝ち続けてほしい」と荒木はバトンを託した。

 

 一度の日本一では満足できない。室岡は「連覇を目指す」と宣言。勝利への飢えと向上心。監督が変わり、毎年新チームになっても、その根底は変わらない。これまで先輩たちが守り続けてきた伝統は、脈々と受け継がれている。この精神がある限り、常勝軍団は勝ち続ける。竹内監督の下で手にした今回の日本一はその新たな栄光への第一歩となるかもしれない。

試合後は笑顔がはじけた

(柚野真也)