倒産件数が704件 10年ぶりに4カ月連続で増加
2019年12月度の全国企業倒産（負債額1,000万円以上）は、件数が704件（前年同月比13.1％増）、負債総額は1,568億6,400万円（同91.7％増）だった。
件数は、4カ月連続で前年同月を上回った。件数が4カ月以上連続で前年同月を上回ったのは、リーマン・ショック時の2008年6月-2009年4月の11カ月連続以来、10年ぶり。また、12月度としては3年ぶりに前年同月を上回ったが、1990年以降の30年間では2017年（696件）に次いで、4番目に低い水準にとどまった。
負債総額は、2カ月連続で前年同月を上回った。負債100億円以上3件（前年同月ゼロ）、同1億円以上5億円未満が145件（同124件）発生した。ただ、同1億円未満は521件（同461件）と全体の74.0％を占めるなど、小・零細企業を中心にした状況が続き、12月度の負債は30年間で2018年（1,568億6,400万円）に次ぐ、2番目の低水準だった。
- 「人手不足」関連倒産51件（前年同月25件）。このうち、「後継者難」は36件
- 形態別件数：破産が605件、構成比は85.9％
- 都道府県別件数：前年同月を上回ったのが25都府県、減少19道県、同数3県
- 負債別件数：負債1億円未満の構成比が74.0％。100億円以上の大型倒産が3件で、2カ月連続で発生
- 業種別件数：機械器具小売業（10→19件）、飲食料品製造業（9→17件）、機械器具卸売業（14→22件）、情報サービス・制作業（20→31件）、織物・衣服・身の回り品小売業（12→17件）などで増加
- 従業員数別件数：5人未満の構成比が73.4％。10人未満の構成比は3カ月連続で前年同月を上回った
- 中小企業倒産件数（中小企業基本法に基づく）は2カ月ぶりに構成が100.0％
産業別 最多はサービス業他、10産業のうち6産業で前年同月を上回る
2019年12月の産業別件数は、10産業のうち、6産業で前年同月を上回った。
建設業115件（前年同月比18.5％増）と卸売業101件（同20.2％増）、情報通信業31件（同55.0％増）は、それぞれ2カ月連続で増加。農・林・漁・鉱業9件（同200.0％増）は3カ月連続、製造業91件（同24.6％増）は2カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。10月に実施された消費増税の影響や、年末年始商戦などの動向が注目される小売業は99件（同37.5％増）で、2カ月ぶりに増加した。
一方、燃料費の高止まりや、人手不足などが懸念される運輸業は20件（同9.0％減）で、3カ月連続で前年同月を下回った。飲食業（65→66件）や宿泊業（3→5件）を含むサービス業他は213件（前年同月比2.7％減）で2カ月連続、不動産業は23件（同23.3％減）で4カ月ぶりに減少した。
金融・保険業は前年同月と同数の2件だった。
地区別 9地区のうち7地区で前年同月を上回る
2019年12月の地区別件数は、9地区のうち、北海道、中部を除く7地区で前年同月を上回った。
近畿が176件（前年同月比15.0％増）で、6カ月連続で増加。中国27件（同3.8％増）と四国15件（同15.3％増）は4カ月連続、九州66件（同53.4％増）は2カ月連続、東北37件（同85.0％増）と関東264件（同9.5％増）は2カ月ぶりに、前年同月を上回った。
一方、北海道17件（同5.5％減）は、4カ月連続で前年同月を下回った。中部88件（同7.3％減）は2カ月連続で減少した。
※地区の範囲は以下に定義している。
- 東北（青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島）
- 関東（茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨）
- 中部（長野、岐阜、静岡、愛知、三重）
- 北陸（富山、石川、福井）
- 近畿（滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山）
- 中国（広島、岡山、山口、鳥取、島根）
- 四国（香川、徳島、愛媛、高知）
- 九州（福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄）
当月の主な倒産
[負債額上位5社]
（株）ＡＷＨ／静岡県／ホテル経営／400億円／破産 （株）ＡＩコーポレーション／東京都／生保・損保代理業ほか／194億6,300万円／民事再生法 池田開発（株）／大阪府／ゴルフ場経営／104億9,600万円／民事再生法 （株）富山ゴルフ／富山県／ゴルフ場経営／34億9,800万円／民事再生法 トヨタハウス工業（株）／埼玉県／パチンコ店経営ほか／30億円／破産
