「仕事を辞めたい」と口にする夫、老後の生活費が足りるか不安

©株式会社マネーフォワード

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。

今回の相談者は、夫の収入が安定しないため老後の生活費が不安だという49歳のパート主婦。いまある貯蓄で足りるのか知りたいといいます。FPの飯田道子氏がお答えします。

主人の仕事、収入が安定しません。これまで勤務先が2度倒産。現在は4社目ですが、事前通告もなく残業代カット、給料カットなどがあり、夫は「辞めたい」と口にするようになりました。転職を繰り返しているため、退職金は望めず、年金額も一般的な厚生年金の受給額よりかなり少なくなることが予想されます(月10万円ほどを想定しています)。子どもがいないため、将来的には施設に入りたいと思っていますが、老後の生活費が不安です。

老後資金として以前から、外貨建て個人年金保険に加入しており、現在の払込済分が1800万円ほど、今後も16年間、月々約6万円(下記の毎月の貯蓄額がこれです)ずつ支払い、3000万円まで貯める予定です。

田舎に、5年前に義両親から相続した古家がありますが、資産価値は低く、700万円ほどです。維持費に苦労しておりましたが、思い切って貯蓄を切り崩しリフォームしたところ、3ヵ月前から借り手がつき、月7万円の家賃収入があります。ただ、再び空き家になる可能性もあり、今後が見通せないため、現在の収入には加算しませんでした。

自分自身で単純計算したところ、老後の生活費は夫婦二人で月額30万円、老後25年で9000万円必要だと考えています。そのうち3000万円は公的年金、4000万円は外貨建て個人年金保険と貯蓄でカバーできると見込んでいるのですが、見通しが甘いでしょうか?自家用車も持たず、旅行は帰省やお墓参りのみ。自由になるお金がほぼない生活が続いています。

<相談者プロフィール>

・女性、49歳、既婚(夫:52歳、会社員)、子どもなし

・職業:パート

・居住形態:賃貸

・毎月の手取り金額:31万円

(夫:26万円、妻:5万円)

・年間の手取りボーナス額:なし

・毎月の世帯の支出目安:25万円

【支出の内訳】

・住居費:8万円

・食費:6万円

・水道光熱費:2万円

・教育費:なし

・保険料:2.5万円(うち、持病持ちの妻の医療保険が1.7万円)

・通信費:1万円

・車両費:0.5万円

・お小遣い:2万円

・その他:3万円(医療費含む)

【資産状況】

・毎月の貯蓄額:6万円(外貨建て個人年金保険)

・現在の貯蓄総額:300万円

・現在の投資総額:1800万円(外貨建て個人年金保険)

・現在の負債総額:なし


飯田:ご主人の収入が安定せず、将来の生活に不安を抱いている相談者様。外貨保険に加入して計画的に積み立てをしたり、古家を貸し出して賃貸収入を得るようにするなど、今後の生活を視野に入れながら、前向きに資産運用に取り組んでいらっしゃいます。

とはいえ、老後の不安は消えないご様子。老後資金についてどのように考えて行くべきか、どのようにすれば、より有効に資産が活用できるのかを考えてみたいと思います。

どのような施設に入所したいのかを明確にしていく

相談者様ご夫婦は、将来、施設に入所して生活することを希望されています。施設といっても種類は多く、どのような設備が整っているのかによって、入所一時金や毎月かかる費用は変ってきます。

まずは、どのような設備がある施設がよいのか、どのようなサービスを受けたいのかを明確にすることです。

各施設では見学会や体験入居を実施しています。年齢的に、まだ体験入居は早いかもしれませんが、積極的に見学会や説明会に参加し、自分が希望する施設に入所する場合には、どれくらいのお金が必要になるのか、毎月の費用はいくら必要なのか、概算を把握するようにしてください。

とある伊豆にある施設の場合、1DKタイプの部屋の入所一時金は2000万円。夫婦二人の生活にかかる費用は、最低でも25万円程度を見込んでおく必要があります。こちらの施設の部屋は完全にマンションのような造りになっており自炊ができますので、食事の提供を受けなければ費用を抑えることが可能になっています。

最近では入所一時金が不要となっているタイプの施設も増えてきています。見学に出向いた際には、施設の設備やサービス面だけでなく、どのような人たちが入所しているのかも確認し、自分たちのライフスタイルと合うかどうかもチェックすることが大切です。

働き方を変えたり、賃貸物件を活用して収入を増やす方法を考える

毎月の支出の内訳を拝見すると、まったく無駄がないというか、相談者様がおっしゃる通り、自由になるお金がない状態です。

相談者様には持病があるとのことですが、もし可能であるのなら、現在のパート勤務から、フルタイムのパートとして働いて収入を増やすことも検討してみてください。フルタイムで働くことで、ご主人の扶養から外れることが想定されますが、毎月の世帯収入が増える、相談者様自身の年金額が増える等のメリットを享受することが可能です。生活に、ゆとりが生まれますよ。

また現在、古家の賃貸収入として毎月7万円得ているようですが、借り手がつかないことを心配されています。ご存知かもしれませんが、「移住・住みかえ支援機構」のマイホーム借上げ制度を利用して、空き部屋のリスクを抑えるのもひとつの方法です。

この制度はサブリース方式となっており、一度、入居された家であれば、空き家になった場合にも家賃保証が受けられるというもの。マイホーム借上げ制度が利用できるのは50歳以上の人。定期借家契約を結んで貸し出します。

デメリットとしては、一般的な賃貸物件よりも賃貸料は低くなる傾向にあり、家賃保証はさらに低い金額になってしまうということです。自分で入居付けができたり、立地がいいなどということであれば、通常の賃貸物件として貸し出した方が収益は増えます。じっくりと考えてみてください。

移住・住みかえ支援機構では、無料で相談を行っています。気になるなら資料を取り寄せたり、相談を受けてみてもよいでしょう。

見通しが甘い?

現在の計画ですと、3000万円は公的年金、4000万円は外貨建て個人年金保険と貯蓄でカバーできると見込んでいるとのことですが、見通しは甘くないですよ。よく頑張っていらっしゃると思います。

ただ、気になるのは、ご主人のモチベーションのことです。相談者様も気にかけていらっしゃいますよね。

ご主人はまだ52歳。今までの経験から、会社に勤めること自体に不安や不信感を抱いているのではないでしょうか。ご主人がどの程度の気持で「辞めたい」と口にされているのかはわからないのですが、辞めて何をするのか? どのように収入を得ていくのかを考えていらっしゃるのでしょうか?

おそらく相談者様がしっかりされている分、ご主人が相談者様に依存していたり、甘えているとも考えられます。一度、相談者様が感じていらっしゃる不安な気持ちを打ち明けてみてはいかがでしょうか? そして、どうしたら二人で進んで行けるのかをじっくりと話し合ってみてください。

“病は気から”ということわざがありますが、働くことやお金を貯めることも、気持ちに左右されることが少なくありません。不安な気持ちのままでは苦しいことばかりが見えてきてしまいます。楽しい未来を描き、そのためには何をすべきかに気付いてもらうことが必要なのかもしれません。