多肉植物で「稼げる農業」へ 品種開発目指す 島原農高草花部顧問・小川さん 生徒と30種600鉢栽培

栽培する多肉植物を手にする小川さん=島原農業高

 長崎県立島原農業高(前田達彦校長)の草花部顧問で、実習助手の小川土雄さん(43)が、観賞用として人気が高い多肉植物の栽培や、多肉植物の交配による品種開発などに取り組んでいる。県教委によると、県内では一部の種類を教材として扱う農業高などはあるが、希少な品種や多種類の栽培は珍しいという。同部で指導しているほか、今後は園芸科学科草花コースの授業にも、フラワーアレンジメントによる空間装飾などを学ぶ一環として取り入れていきたい考えだ。

 小川さんによると、葉先や葉上面に窓と呼ばれる透明部分がある人気品種ハオルシアなどの中には世界的に高値で取引されるものもあるといい、「農業後継者に利益が見込める植物の栽培技術を学んでもらい、稼げる農業につながれば」と考え、一昨年、約10種の栽培を始めた。
 同校敷地内にある約100平方メートルのガラス温室には、ハオルシアや、放射状に連ねる葉の形がバラの花のようなエケベリア、花の色がきれいで肉厚な葉が特徴的なカランコエなど約30種約600点の鉢が並ぶ。小川さんと部員が育てる多肉植物の数々だ。約1年かけ、育てる品種を増やしたり、親株を基に増殖したりと取り組みを本格化した。
 品種開発は、同じ種類同士で、異なった特徴のある株と株を掛け合わせて新たな品種を生み出す。試行錯誤を続ける小川さんは「ハオルシアは光を通す透明の窓や、その窓に描かれる模様が魅力。品種開発には時間と労力がかかるが、将来的に新たな品種の登録を目指したい」と語る。
 1~3年計5人の部員に、多肉植物の葉挿しや種から育てた株の鉢上げ、植え替えを指導。今後、部活動として品種開発にも携わってもらう考えだ。小川さんは教諭らとも相談し、「インテリアとしての多肉植物の見せ方や飾り方を授業にも取り入れられれば」と期待を込める。「生徒に興味関心を持ってもらうことが一番の目的。ここでしかできない体験をさせてあげたい」と笑顔を見せる。

小川さんらが栽培する多肉植物

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