U-23タイ代表のB・デイヴィス、「育った国に帰れない」選手だった

13日に行われたAFC U-23選手権のタイ対イラクの試合で先発出場した19歳のMFベン・デイヴィス。本職は中盤ながらも0トップのような役割で起用され、その高いテクニックを見せつけた。

そんな期待の選手である彼は、かなり複雑なルーツを持っていることで知られている。

父親はイングランド人、そして母親はタイ人。2000年にタイのプーケットで生まれたが、5歳のときにシンガポールへと移住。父ハーヴェイがシンガポールで経営しているサッカーアカデミーでキャリアをスタートさせた。

そして2016年に15歳でイングランドのハロー高校に入学し、次年度にはトライアルを経てフラムのユースに加入することに成功。この際には「プレミアリーグのクラブと契約した初めてのシンガポール人」となる。そして2018年にシンガポール代表からアジアカップ予選に招集もされた。

ところが、問題はそこから発生した。シンガポールでは18歳になった男性に2年間の兵役義務が課せられているからだ。

デイヴィスはそれを延期するために申請を行ったものの、シンガポール当局はそれを拒否。それを受けて、デイヴィス側は生誕地であるタイの代表に鞍替えを決断したのである。

『South China Morning Post』によれば、シンガポール軍は昨年2月からベン・デイヴィスを「義務不履行者」とみなしており、もし逮捕されれば最高3年の懲役+1万シンガポールドルの罰金が言い渡される可能性があるそう。

ただ、ベン・デイヴィスと父親のハーヴェイはサッカーのキャリアを重視し、シンガポールに帰れなくなるというリスクを受け入れている状況だ。

今季EFLカップのサウサンプトン戦で初めてフラムのトップチームにデビューしたベン・デイヴィス。育った国を捨てての挑戦を成功させられるだろうか?

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