58%が中東派遣に反対、共同通信世論調査

 政府は日本関係船舶の安全な航行に情報収集活動が必要として国会審議も経ないまま、中東地域への自衛隊派遣を閣議決定、防衛大臣が命令を出し、P3C哨戒機を先行出発させた。今月下旬から現地で活動を始める。また護衛艦「たかなみ」を2月上旬に出航させる。

 活動範囲はオマーン湾、アラビア海、ソマリア沖のアデン湾エリア。政府は派遣の根拠法を自衛隊設置法の「調査研究」に置いた。派遣期間は12月26日までとしている。

 派遣先にホルムズ海峡は入れていないが、派遣先で不測の事態が発生する可能性は皆無ではない。この場合、政府は「海上警備行動」に活動を切り替え、武器使用や相手の進路を妨害して対応することになる。米国とイランの軍事的対立に自衛隊が巻き込まれる危険はないといえるのか。自衛隊派遣に反対の声は多い。

 共同通信の世論調査で中東派遣に反対するとの回答が58.4%、派遣に賛成する(34.4%)との回答を大きく上回った。野党は「自衛隊への派遣命令と政府の閣議決定の撤回を求めるとともに、米国とイランの対立解消に外交努力に全力を挙げるよう」を強く求めている。

 日本共産党の志位和夫委員長は「防衛相は米・イラン軍事衝突について『起きない』というが、誰がそんな保障をできるのか。日本船舶の安全を守るために今必要なことは、米国の無法な軍事力行使を批判し、核合意に復帰を促す外交努力だ」とツイッターでアピール。

 社民党の吉川はじめ幹事長も「(派遣に対し)明確な必要性も緊急性もない。法的根拠にも問題が残る」としたうえで「なし崩し的に海上自衛隊を海外派遣することは武力行使の範囲をひろげ、危険にさらすことにもなりかねない。自衛隊員の命までも『私物化』することは許されない」と政府の対応を非難。「桜」「IR」とともに、今国会で党として追及していく考えだ。(編集担当:森高龍二)

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