警視庁が新総監を発表 同時に新警察庁長官も 「警護畑」からのし上がったトップに歌舞伎町の治安を守り切ることができるのか

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すでに一部メディアでは流れていたが、警視庁は1月14日、退任する三浦正充総監に代わって斎藤実副総監を新たなる総監とすると発表した(発令は17日)。警視総監と言えば、首都東京の治安を守るトップであるだけに注目は大きい。

その斎藤新総監は、警備課長や警視庁警備部長を歴任していることからもわかるように警備畑出身。また今回、同時に就任が発表された新警察庁長官の松本光弘氏も、警察庁警備局長を歴任しているように、やはり警備畑だ。つまり、ふたりともが警備畑というエリートコースを歩んだ既定路線であるが、お上的には東京オリンピック対策という意味で、“適役”と踏んでいるに違いない。

さて、オリンピック対策が警察として重要なのはわかるが、もちろんそれだけがすべてではない。特に首都東京の治安を守る……という意味では、警備だけではなく刑事にも力を入れてもらわなければいけない。そういった意味では、前任者となる三浦総監が昨年9月、12月と異例の二度も巡視を行った歌舞伎町などはその試金石ともなるだろう。

歌舞伎町は新宿という「首都」にあり、外国人観光客がもっとも日本で立ち寄る場所だ。また、いうまでもないが、戦後からの歓楽街としてダークな面が根強く残っている場所でもある。そこの治安をどう維持するのか?というのが大きなポイントだ。その歌舞伎町の現状を見るうえで2つのポイントをあげたい。

まず一つ目は、暴力地図の変移だ。いわゆる伝統的なヤクザによる勢力図はここ10年ほど大きな変化はないのだが、その末端では変動が見られる。これは暴対法・暴排条例、さらに昨年の東京都改正暴排(ミカジメの罰則強化)などで、ヤクザが表立って動けない分、いわゆる半グレの役割が大きくなっていることだ。

もちろん、歌舞伎町は基本的に本職の街だけに、半グレを取り込む巧妙な形で進められている。特に違法薬物の流通はこれまでとは違って(若者などをターゲットとした)新たなルートが昨年から散見されており、歌舞伎町の治安悪化要因として住人たちの不安の的になっているのだ。

いまひとつは、外国人犯罪の不透明化だ。これまでの歌舞伎町と言えば、一昔前なら中国系マフィア、ここ近年ではナイジェリア系の不良外国人が目立っているが、これが何々人、という簡単な枠組みではなくなっていく可能性が高い。

つまり、中国系、ナイジェリア系とエスニックで括られていたのが、そこに中東系や東南アジア系が混在して犯罪集団となるケースであり、実際に目にする。目的のためには垣根を取り払った、言ってみればハイブリッドな集団といえよう。いままでの捜査がこれに通用するのか?

このように、犯罪そのものが変化するなかでの警視総監交代。前任の三浦総監が刑事局長などを歴任した組対畑で、ヤクザや外国人の犯罪には強かっただけに、警備畑出身の斎藤新総監の手腕により注目が集まる。(取材・文◎堂本清太)